やっぱり僕は歌が好き 第二十二楽章「悔し泣きは努力してる証」
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私は慌てて席を立ち飲み終わってるカップを給湯室の流しに下げ、練習再開の準備を整える。
そして全員揃って2階の練習室へ……
部屋に入ると社長はお三方をそれぞれソファーに誘い、ピアノ兼ヴォーカルの私を向かって右に、中央にはMBのアイリを、そしてMGの社長は左へと位置取り私へと視線を向ける。
この曲は私のヴォーカルから入る。
その為、私の任意のタイミングで開始できるのだ。
だからタイミングやリズムが合わせられなかったら、遣り直しも有り得るはずなのだが……この二人には一度も有り得なかった!
如何な時でもタイミングを合わせ、私がリズムを間違えてもそれに合わせ……尚且つ格好良く演奏しきる。
弾き終わり……もしくは私がミスって途中で終了してから『今のは少しリズムが速かった(or遅かった)』等のダメ出しをされて遣り直しとなる。
自分の名誉の為に言うが、失敗率が100%ではないからね!
この一週間、練習し続けてきたから、20〜30%の失敗率にまでなったけど、失敗率が0%の二人を見てると、流石に落ち込むわ。
だけど今回は失敗するわけにいかない!
私の演奏は兎も角としても、お三方は社長の格好いいとこを見に来てるのだから、それを邪魔するわけにいかない!
さあ……
意を決して歌い出し演奏を始める。
勿論、社長もアイリも完璧に曲へ入って来て、何時もの様にスタイリッシュなテクニックを披露する。
チラリと王妃陛下を見たが、未だに陛下に対して恋する乙女の様な表情をされている。
海よりも深くその気持ちは解るくらい陛下は格好いいが、私にとっては大いなるプレッシャーである!
そして事件は起きてしまった……
Aメロ・Aサビと順調に歌い終わりBメロへと移り変わる間奏で私はやってしまった。
ボーカルも無く私の本職で在るピアノ演奏の場面で、王妃陛下の表情に気を取られ、完全にミスってしまい持ち直す事が出来なかった!
いや違うわ……
王妃陛下の表情なんて関係ない。
私自身の未熟さから発生したミス。
そして中断。
「ご、ごめんなさい!!!」
「気にする事は無いよピエッサちゃん。まだ練習開始して一週間なのだからさ」
お三方の楽しみを邪魔してしまい慌てて謝る。叱られる事はなく、社長もフォローしてくれた。
「それより如何でしたか? 私と社長はどちらが格好良かったですか?」
私のミスから話題を変える為か、答えが分かりきっている質問をお三方に問うアイリ。
正直助かる。
「ごめんね。リュカしか見てなかったわ」
「ごめ〜ん。リュー君が目当
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