第3部
ルザミ
滅びの町の真実
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ならないと考えた私たちは、その危機を回避するために、ゴーシュと二人でテドンを訪れることにしたんだ。新婚旅行という名目でね」
『!!』
新婚旅行という言葉に、私とユウリは思わず顔を見合わせた。
「あれ? 確かテドンってここからものすご―く遠いよね? どうやって行ったの?」
内心驚いている私たちをよそに、シーラが当然の疑問を投げかける。
「ゴーシュに頼んでキメラの翼でテドンから一番近い町に向かったんだ。彼は海賊だったから、以前からいろんな町を訪れてたんだ」
謎が解けて納得するシーラの横で、私はテドンに初めて訪れたときのことを思い返した。
「あの、私たち、最初にテドンを訪れたとき、私とユウリは何故か町の人達に新婚夫婦だと間違えられていたんです。話しかけても、私たちのことを認識していないようでした。もしかしてそれって、当時のフィオナさんたちに対して反応してたってことですか?」
「? それはどういうことだい? テドンは魔王軍に滅ぼされたんだろ? なのに町の人達と接する機会があったのかい?」
私は最初にテドンに行ったときのこと、私とユウリが新婚夫婦だと言われたりしたこと、一晩経って町の様子が一変したことなどを話した。
「……なるほど。おそらくその現象は、イグノーの力によるものだ。私は当時牢に囚われていたイグノーに伝言を伝える際、他人に見られないよう古代文字でゴーシュの視た夢の内容を書いて看守に渡した。彼も賢者だ、自分の使命と運命を悟ったんだろうな。その内容が自分が死んだあとのことだと理解した。そこで、自分が幽霊になって君にオーブを渡せるようにテドンの町全体に術を施したのかもしれない」
「あー、それってお祖父様が得意な術かも。聞いた話だけど、なんでもない石に術を込めて魔物よけの結界を作ったり、人や物の記憶や過去を具現化させて、幻を作ったりもしてたって」
「お祖父様……? もしや君はイグノーの血縁者なのか?」
「うんそうだよ♪ あたしは三賢者イグノーの孫娘なの」
そう言ってシーラは手にしているイグノーさんの杖をフィオナさんに向かって振りかざした。特に何か起こるわけではなかったが、フィオナさんは好奇心に満ちた目でその杖を眺めた。
「それで、君はイグノーからオーブを受け取ったのかい?」
視線をユウリに戻し尋ねると、ユウリは鞄からグリーンオーブを取り出した。
「ああ。あんたの言うとおり、イグノーからこのオーブをもらったんだ」
「……そうか、それならよかった。私たちのしたことは無駄ではなかったんだな」
淡い緑色の光がフィオナさんの瞳に映し出された途端、彼女から安堵の息が漏れた。
「……テドンを出てからずっと、気になっていたことがある」
「というと?」
「俺たちは最初にテドンを訪れたあと、町の近くに住んでいるシスターからメモの
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