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俺様勇者と武闘家日記
第3部
ルザミ
滅びの町の真実
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った」
「あの、もしかしてその海賊って、島の子供を助けて亡くなった方ですか?」
 話の腰を折ることに抵抗を覚えつつも、思わず口を挟まずにいられなかった。
「ああ。彼の話を聞くうちに、どうして彼が海賊なんてやっていたのか疑問を抱くようになった。彼は本来はとても優しくて、海賊なんて蛮行をする人間には見えなかったんだ」
 フィオナさんが話すゴーシュさんの人物像は、確かに海賊と言われたら何故と問うくらい人情味に溢れた人柄だった。怪我が治っていないにも関わらず、島の人が困っていたら進んで助けるし、フィオナさんの研究に関する話にも熱心に耳を傾けてくれたそうだ。
「そうやって接していくうちに、私も彼も次第に惹かれ合っていってね、やがて彼と一緒に生活することになったんだ」
「キャー!! 素敵!! ロマンチック〜!!」
 恋愛話が大好きなシーラが急にはしゃぎ出した。いや、ここは私も一緒になってはしゃいだ方がいいのだろうか?
「するとある時、彼は自分の父親の話をした。彼の父親であるアトレーさんは、アリアハンでも腕利きの義賊であり、ゴーシュ自身も盗賊の修行をしてきたらしい」
「アトレーって……、ジジイのことか?」
「ああ、そうだよ」
 ナギの言う『ジジイ』というのは、ユウリの仲間になって間もなく行ったナジミの塔の住人であり、ナギのお祖父さんのことだ。確かユウリを見て勇者だと言った最初の人だ。
「そしてもう一つ、彼はこんな事も言っていた。義賊である父親には、もう一つ他人にはない力がある。それが、未来を予知する力だと」
「予知……、もしかして、オレと同じ予知夢なのか!?」
「……そうか。やはり君も、アトレーさんやゴーシュと同じ能力を受け継いだんだね」
「? ジジイだけじゃなくて、そのゴーシュってやつも予知夢を見るのか?」
「……ああ」
 少し残念そうに答えるフィオナさんの言葉に、ナギは訝しげな顔をした。
「神様の気まぐれかわからないが、とにかく君やゴーシュは予知夢を視る血筋のもとに生まれたんだ。話を戻すと、その後私たちは結婚して、子供を授かった。そして子供……ナギがまだお腹の中にいるとき、ゴーシュは予知夢を視た。自分たちの息子と思われる銀髪の青年、黒髪と金髪の若い女性、そしてもうひとり、黒髪の青年がこの家にやってくる夢だ」
「それって……!」
 今のこの状況にそっくりではないか。シーラもすぐに反応する。
「銀髪の青年がナギちんで、黒髪の女性がミオちん、金髪があたしで、黒髪の青年がユウリちゃんってこと?」
「そう。そして黒髪の青年は、自分のことを『勇者』だと名乗っていたそうだ」
 それは、つい今しがた交わしたやり取りと同じ状況だった。
「その話をゴーシュから聞いたとき、最初は冗談かと思ったよ。けど、ナギが生まれたあとも彼は次々と予知夢の内
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