第八十三話 映画館へその十
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「多少位の馬鹿を雇っても問題ないが」
「そこまで馬鹿だとね」
富美子も微妙な顔になって言った。
「権力に反対する連中がテロや殺人してもいいとか」
「そんな考えだとな」
「どうしようもない馬鹿だしね」
「人の痛みがわからないわかろうともしない」
越智はこの上ない嫌悪を込めて言った、そこには嫌悪だけでなく侮蔑もあり肯定しているものは何もなかった。
「そして法律もだ」
「否定してるわね」
「権力を否定してもな」
それでもというのだ。
「殺される人のことも考えろ」
「そうよね」
「この店員は戦前の日本は批判したらしいがな」
「虐殺とかしてたって」
「だが権力に反対するならな」
「虐殺もよかったのね」
「そかもその連中が権力を目指していてもな」
事実オウムはそうであった、だからこそ武装も進めていたのだ。
「よかった」
「そんな連中が権力握ったら」
「馬鹿でもわかるな」
「そうよね」
「そんなこともわからないんだ」
「これ以上はない馬鹿ね」
「民主主義を言いながらだ」
そのうえでというのだ。
「そんな連中はいい」
「何かもう色々ね」
「馬鹿だな」
「ええ、馬鹿過ぎて」
富美子も軽蔑を込めて言った。
「お店にはね」
「普通は採用出来ないな」
「そうした奴をこう言うのよね」
やや首を傾げさせて言った。
「アナーキストって」
「無政府主義だな」
「あれじゃない、政府がないと」
富美子はさらに言った。
「モヒカンがバイクに乗って走り回る」
「核戦争の後の世界だな」
「それじゃない」
「ああした世界だ」
「無政府主義ってね」
「暴力を振るう奴がのさばってだ」
無政府状態、法律が存在せずかつ秩序を維持する警察もない状態である。権力がない社会とはくなるのだ。
「弱い人はな」
「酷い目に遭うわね」
「そんな社会の何処がいいんだ」
「絶対に嫌よね」
「そんなこともわからない馬鹿がいてだ」
「そんな馬鹿を店員さんにしたら」
「その店は相当おかしいだろ」
こう富美子に話した。
「本当に」
「そうよね」
富美子もそれはと応えた。
「本当に」
「それでその店は潰れてな」
「もうないのね」
「その馬鹿な店員がどうなったかはな」
越智は嫌悪に満ちた声のまま話した。
「俺は知らないがな」
「今生きてるのかしらね」
「さあな、人の痛みや苦しみがわからないわかろうともしない奴だ」
「生きていても仕方ないしね」
「馬鹿過ぎて破滅しているかもな」
「どえらいことやらかして」
「そうかもな、多少の馬鹿でも生きられるが」
人間の社会はというのだ。
「限度があるだろ」
「馬鹿でもね」
「そこまでの馬鹿だとな」
人の痛みがわからずわかろうと
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