第八十三話 映画館へその九
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「その人の本はなのね」
「俺は聞いてるだけだが親戚の叔父さんが読んで後悔している」
「そうなのね」
「俺が読んだのはオウムの教祖を賛美していた対談だ」
それを読んだというのだ。
「それを読んだ瞬間に馬鹿だと確信した」
「あんなの普通褒められないしね」
「あの教祖が何人殺した」
そのテロ行為や口封じでというのだ。
「それだけでわかることだ」
「昔オウムがテロ起こして権力に反対するならいいって言った人いたわね」
「上本町のハイハイタウンにいたそうだな」
「あそこに前あったお店でね」
「俺もその話は聞いている」
「そのテロで大勢死んで遺族の人も泣いたのにね」
「その人達の命や苦しみや悲しみを全くわかっていないからだ」
だからだというのだ。
「そんなことが言えるんだ」
「縛り上げて遺族の人達に突き出したいわね」
「全くだな、大体権力に逆らう連中が犯罪起こしていいのか」
「それで人殺して」
「そもそもオウムは権力者になろうとしていたんだ」
「そんなこともわからないって」
「どうにもならない馬鹿だ」
越智はこの輩についても言い切った。
「何でもこの馬鹿を雇ったお店は潰れたらしいがな」
「もうないのよね、ハイハイタウンに」
「こんな馬鹿を雇う様な店がまともに経営出来ているか」
「そういうことね」
「だからな」
それでというのだ。
「その店員がいた店はな」
「まともな経営出来ていなくて潰れたのね」
「何でもな」
越智はさらに話した。
「親会社が駄目になってたらしい」
「お店を経営している」
「雑誌を出していたけどな」
それでもというのだ。
「ゲーム雑誌で雑誌は編集者が書くが」
「そうよね」
「ゲーマーがな」
「書いていたのね」
「その人達がな」
編集者ではなくというのだ。
「そうだったらしいな」
「ゲーマーの人達が悪い訳じゃないけれど」
「編集者じゃないだろ」
「そうよね」
「編集者の人達がいなくてな」
雑誌の制作にというのだ。
「ゲーマーの人達が好きなゲームを紹介する」
「そんな雑誌で」
「流行とかも考えなくてな」
「ああ、それやばいわね」
「そうなっていって雑誌がおかしくなってな」
「休刊ね」
「それで会社も傾いたらしい」
こう富美子に話した。
「どうもな」
「他のことも酷くて」
「そんな店員を直営店で雇うんだ」
「まともな人がいなくて」
「遂にな」
「親会社が潰れて」
「お店もな」
直営店であったこちらもというのだ。
「親会社が潰れる直前にな」
「潰れたのね」
「ああ、そんな馬鹿を雇うのならな」
「相当危ないってことね」
「そりゃ馬鹿はいる」
世の中にはというのだ。
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