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カリュアへの愛
第一章

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                カリュアへの愛
 酒の神ディオニュソスは恋多き神と言われている、中性的な顔立ちに金色の鳥の巣の様な短い髪の毛と中背でほっそりとした体格を持っている。
 この神はこの時オリンポスにある自身の神殿で彼に仕える従神達に言っていた。
「オクシュロスと木の精ハマドリュアスの娘のだ」
「カリュアといいましたね」
「大層かなり美しい娘だそうで」
「何でも」
「そうだ、先日私神殿に来て祈りを捧げている姿を見たが」
 ディオニュソスは思い詰めた顔で話した。
「事実な」
「非常に美しいですか」
「そうした娘ですか」
「左様ですか」
「だからな」 
 それ故にというのだ。
「今度会ってだ」
「愛を告白されますか」
「そうされますか」
「意を決されて」
「そうする」
 こう従神達に答えた。
「それでその用意をな」
「これよりですね」
「為されますね」
「そうされますね」
「そうしたい」
 こう言って実際にだった。
 ディオニュソスはいそいそとカリュアへの告白の用意を進めた、そして彼女がまた神殿に来た時にだった。
 栗色の髪の毛を長く伸ばし青い眩いばかりの光を放つ目と面長で色白の顔と服の上からもわかるお整った長身に高い鼻を持つ彼女にだった。
 自らを名乗り愛を告白した、だが。
 カリュァは悲しい顔になってだ、ディオニュソスに答えた。
「申し訳ありませんが」
「断わるのか」
「はい、そうするしかありません」
「何か訳があるのか」
 ディオニュソスはカリュアの言葉にただならぬものを感じて彼女に問うた。
「一体」
「はい、実は私は病を得て」
 その悲しい顔で答えた。
「もう長くはありません」
「そうなのか」
「ですから」
「私の申し出をか」
「受け入れられません」
「いや、少しの間でもだ」
 それでもとだ、ディオニュソスは必死の顔でカリュアに言った。
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