第三章
[8]前話
「願わくばだ」
「楽器を欲しいのね」
「民達の為にな」
「わかったわ」
イナンナはギルガメスの言葉に頷くとだった。
その場で樫の木を使ってそのうえで二つの楽器を作った、そしてその二つの楽器をギルガメスに与えて言った。
「一つはプック、もう一つはメックというわ」
「プックとメックか」
「この二つを民に渡しなさい」
「作り方と奏で方もだな」
「今から詳しく貴方に教えるから」
そうするからというのだ。
「いいわね」
「わかった、ではな」
ギルガメスも頷いた、そしてだった。
実際にイナンナから作り方と奏で方を教えられた、そのうえで女神に対して確かな声で答えたのだった。
「では確かに受け取った」
「それではね」
「使わせてもらう」
「ええ、そうしてね」
「そしてだ」
ギルガメスはさらに言った。
「私が樫の木に棲んでいた者達を追い払ったことからはじまり」
「楽器達がその樫の木から作られるからなのね」
「そしてだ」
「そして?」
「ここはウルクだしな」
このこともあってというのだ。
「これからは樫の木がウルクの聖樹だ」
「そう定めるのね」
「これまでは聖樹はなかったが」
ウルクにはというのだ。
「今定めた」
「そうして大事にしていくのね」
「そうする、ではな」
「ええ、これからは」
「そうしてな」
そのうえでというのだ。
「貴んでいこう」
「そうしてくれると私も嬉しいわ、ではね」
「また会おう、そして楽器達でな」
「民を喜ばせるのね」
「そうしよう」
こう言ってだった。
ギルガメスは笑顔で王宮に戻った、そしてだった。
民達に二つの楽器を伝え樫の木をウルクの聖樹とすることも話した、すると民達は王の素晴らしい勇気と行いを讃え二つの楽器を喜んで使い樫の木を大事にする様になった。メソポタミアに伝わる古い話であるという。尚プックは太鼓、メックは撥のことだという。この二つの楽器は愛と豊穣の女神がもたらしたものであるのだ。
ウルクの樹 完
2023・4・13
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