アインクラッド 前編
揺れ出した心
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大なオオカミとそれに立ち向かう小柄なプレイヤーを発見した。オオカミのHPバーは既に一本目が消失していて、二本目の残りは七割ほどだ。二人が駆け寄ると、アルゴもそれを察知したようで、飛びかかった《シャドーハントウルフ》を左に跳んで避けると、二人の許へと走り寄って言った。
「思ったより早かったナ〜。やっぱり、オイラが見込んだだけのことはあるナ。……それじゃあ、オイラがまず前衛になるから、二人はオイラがパリィしたらスイッチしてくレ。……さっきも言ったけど、あいつの動きは《ナイトウルフ》とは比べ物にならないくらい速いから、注意してくレ」
アルゴの口調が若干堅くなり、空気も緊張感を漂わせる。
が、その雰囲気をマサキが粉々に打ち砕いた。
「ところで、そのスイッチって、何だ?」
「……はァ!?」
今まで敵から目を離さなかったアルゴが、まるでUFOでも見たかのような目をして、素っ頓狂な声を周囲に漏らした。
「……まさか、スイッチも知らないのカ?」
「ああ。だからそう言ってるだろ」
マサキがさも当然そうに返すと、アルゴはがっくりと項垂れて首を振った。
「……スイッチってのは、誰かが重攻撃とかで敵の隙を作って、その間に前衛と後衛を入れ替え、後衛に下がったプレイヤーが回復する、というのを順番に行っていくものダ」
「なるほど。ローテーションで回復と攻撃を回す訳か」
呆れながらのアルゴの解説にマサキが頷くと、アルゴが「情報料取り忘れタ!!」と思い出したように叫び、それがさらに場の空気をぶち壊していく。しかし、二人はすぐ敵に集中しなおすと、宣言どおり、アルゴがオオカミに向かって飛び出した。
それに反応してオオカミもアルゴに飛び掛るが、襲い来る牙をアルゴは鉤爪で弾き返し、
「スイッチ!」
と甲高い声で言った。すぐさまマサキが反応し、オレンジ色の剣閃でオオカミを貫き、HPの一割ほどを奪い去る。負けじとオオカミも反撃の牙を剥こうとするが、それよりも早くマサキが「スイッチ!」と叫び、同時にトウマが間に割り込む。鋭い牙での一撃を《バーチカル》で受け止めると、今度はアルゴがスイッチを宣言し、さらに追撃を行う。一気に攻撃力が増した三人によって、《シャドーハントウルフ》のHPは残り三割強まで削られていた。
アルゴが攻撃をいなした隙を突き、マサキが《ライトネス》の黄色いエフェクトでオオカミを切り裂く。すると、その攻撃によってHPが三割を割り込んだオオカミが、これまでにないほどの声量で雄たけびを上げた。
「これであいつは暴走状態に入り、素早さと攻撃力が倍増すル。これまでとは全く違うと考えた方がいイ」
「最後の足掻きって訳か」
「…………」
トウマが話に全く参加しようとしないことをマサキは少々訝ったが、す
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