第三章
[8]前話 [2]次話
「お兄ちゃんもカープ好きでも嫌いでもないでしょ」
「別にね」
それはという返事だった。
「巨人は死ぬ程嫌いだけれど」
「そこも同じよね」
「お互いね、けれどカープは」
寿にしてはだ。
「ライバルだけれど」
「好きでも嫌いでもないわね」
「別にね」
これといってという返事だった。
「本当に」
「そういうことよ、だからね」
「励ましでも煽りでもないんだ」
「ただ言っただけよ」
ご愁傷様と、というのだ。
「それだけよ」
「そうなんだね」
「ええ、それにまだ交流戦終わったばかりで」
それでペナントが再開されたばかりだというのだ。
「前半戦よ」
「まだね」
「これからでしょ」
「すぐに首位奪還するよ」
寿は表情を強いものにさせて答えた。
「阪神は」
「そう言うわよね」
「うん、そして」
それでというのだ。
「今年はアレだよ」
「優勝ね」
「アレを実現するよ」
ナポリタンを食べつつ言い切った。
「絶対にね」
「そう言うわよね」
「そして」
妹にさらに言った。
「シリーズも出て」
「それによね」
「さらにだよ」
まさにというのだ。
「日本一だよ」
「まさにアレね」
「最高のアレを」
それをというのだ。
「実現するんだ」
「じゃあ今日までのことは」
「絶対に挽回するよ」
妹に豪語した。
「何があっても」
「そうなのね」
「阪神にはその力があるから」
「横浜にリベンジね」
「そうするよ」
「じゃあ頑張ってね、ただね」
千佳はここでだった。
ふと眉を顰めさせた、そのうえで兄に言った。
「クライマックスはうちが出るから」
「カープだね」
「三位にはね」
「絶対になって欲しいよ」
「ええ、巨人が調子に乗ってるから」
このことを忌々し気に言うのだった、全人類普遍の敵である邪悪に満ちたこのチームのことをである。
「何とかね」
「やっつけないとね」
「巨人が出たら」
クライマックスにというのだ。
「それだけで嫌でしょ」
「それどころか交流戦変に調子がよかったね」
「危うく優勝しそうだったわね」
「そこで頭に乗ってるから」
「優勝とか言ってるわよ」
「ふざけるなだよ」
寿もまた忌々し気に言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ