第一章
[2]次話
あと一球から陥落
その日曜の夕方根室寿は自分の部屋で黙々と予習と復習を行った、通っている中学校のスキー部の部活から帰ってだった。
そうしてから夕食を食べたが妹の千佳に言われた。
「喋らないの?」
「喋りたくないんだよ」
夕食のナポリタンを食べつつ答えた。
「今は」
「理由はやっぱり」
「負けたよ、阪神」
妹に憮然として答えた。
「これで五連敗だよ」
「横浜には三連敗よね」
「交流戦の最後ソフトバンクに連敗して」
そうしてというのだ。
「そしてね」
「それから三タテ受けたのよね」
「全く、ふざけた展開だよ」
こうもだ、寿は言った。
「この前まで六・五ゲーム開いていてね」
「独走だったわね」
「そうだったのが」
それがというのだ。
「首位陥落だよ」
「あっという間だったわね」
「こんなの考えもしていなかったよ」
寿は心からこの言葉を出した。
「有り得ないよ」
「そうね、普通はね」
千佳もそれはと応えた、勿論千佳もナポリタンを食べている。
「ないわよね」
「何で阪神ってこんなことが起こるんだ」
「それもしょっちゅうね」
「しょっちゅうは余計だよ」
「けれど本当に多いじゃない」
兄にジト目で答えた。
「阪神って」
「そうした展開が」
「本当にしょっちゅうね」
「カープはないのに」
「あと一球で打たれて」
そして負けてというのだ。
「そこから連敗ってね」
「しかもそこから首位陥落は」
「こんな展開がしょっちゅうってよ」
それこそというのだ。
「世界のどのスポーツのチームでもね」
「ないんだね」
「そうじゃない?」
「そう言えば聞かないよ」
寿もこのことを認めた、認めざるを得なかった。
「僕達の学校世界中から人が集まってるけれど」
「八条学園はね」
「どの国の子も言うよ」
「阪神みたいな有り得ない展開がしょっちゅうのチームはないってね」
「そうだね」
「いや、私も今日の試合のこと聞いたけれど」
そしてこれまでの連敗のこともだ。
「ないわ、って思ったら」
「そうなんだね」
「若しもよ」
千佳はナポリタンと一緒に出されている牛乳を飲んでから言った。
「カープがああした負け方したら」
「その時はどうなるのかな」
「今のお兄ちゃんみたいになるわ」
寿本人に言うのだった。
「確実にね」
「そうなんだ」
「そうならないでいられないわ」
それこそというのだ。
「もうね」
「そうなんだね」
「開幕前の壮行試合も凄かったわね」
千佳はこの試合のことも話した。
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