第一章
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目覚めてしまった夫婦
早勢保志の妻葵は細面にすっきりした顎に濃い一直線の眉に小さめのアーモンド形の奥二重の目と高めの鼻に大きな赤い唇と白い歯を持っている。背は一五六でありスタイルはいい方である。
共働きで家事は分担して行っていて夫婦生活は時折言い合いはするが暴力はない。二人共ギャンブルやドラッグや不順異性交遊といった趣味もなくお金も平和も保たれていた。もっと言うと夜の生活も普通だ。
保志はそんな生活に満足していた、だが。
ある日家に帰ってだ、彼はきりっとした細面の顔を驚愕させた。黒髪をショートにしていて背は一七六位ですっきりしている。その顔で妻に尋ねた。
「どうしたの?」
「いや、今日私お仕事お休みだったでしょ」
碧はその夫に笑って応えた。
「それでゲームとかネットとかしてたけど」
「いつも通りの休日だよね」
「それで晩ご飯のお買いものに行って」
近所のスーパーにというのだ。
「そこで女子高生の娘達もいたのよ」
「そうなんだ」
「それでその娘達の制服姿見て」
「自分もってなったんだ」
「それでね」
葵は保志にさらに話した、見ればだ。
濃い紺のブレザーにグレーの短いスカートに青緑のリボンに白のブラウスと彼女が通っていた高校の制服姿だった、アルバムにあるそのままだ。
「試しによ」
「着てみたんだ」
「そうなの」
黒のハイソックスまで履いている。
「私も着たくなってね」
「それでなんだ」
「ええ、どうかしら」
夫に微笑んで尋ねた。
「それで」
「今の制服姿が」
「似合ってるかしら」
「何かね」
夫は無意識のままだった。
高校時代の制服姿の妻に近寄ってだ、抱き締めて熱い声で言った。
「かなりきたよ」
「きたって」
「晩ご飯前にいいかな」
「いいけれど普段と全然違うじゃない」
「いや、高校生が制服着てもね」
それでもというのだ。
「普通でしかも子供だから」
「何とも思わないの」
「けれど二十代後半でしかも自分の奥さんがね」
「制服着るとなの」
「何か凄くいやらしく見えて」
それでというのだ。
「我慢出来なくなったよ」
「それじゃあ」
「晩ご飯の準備出来てるよね」
「後はもうテーブルに出すだけよ」
「じゃあ今からね」
こう言ってだ、妻をその場に押し倒した、そしてその後で一緒に夕食を食べた、だがその時にだった。
制服から部屋着に着替えていた葵は保志に笑って言った。
「いつもよりずっとよかったわ」
「そうだね」
夫も確かにと答えた。
「凄くね」
「私達って夜はね」
「そこそこだったね」
「別に多くも少なくもなくて」
「変なところもないね」
「まあ封通だったけれど」
それでもというのだ。
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