第百四話 八月の終わりその十三
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「恥ずかしいともね」
「言われてたのね」
「そうだったのよ」
その人はというのだ。
「恰好悪いともね」
「そんなのだと」
「実際咲もこんな人恰好いいと思うかしら」
「最低でしょ」
即座にだ、咲も答えた。
「そんなのだと」
「お母さんもそう思うわ」
「そうよね」
「例え外見はどうでもね」
母はこう前置きして洽も言った。
「毎日必死に働いて何かしてもらったら感謝する」
「そうした人こそ恰好いいわよね」
「そうよ、例え外見はどうでも」
「そんな人は最低でね」
「恰好悪いでしょ」
「実際今行方不明だし」
「一介ホームレスにまでなっても反省しなくて」
それでというのだ。
「そうなったのよ」
「だからよね」
「そう、もうね」
それこそというのだ。
「こんな恥ずかしい人はね」
「いないわよね」
「今は生きてるかどうかも」
このことすらというのだ。
「わかっていないのよ」
「死んでない?」
「そうかもね」
母も否定しなかった。
「もうね」
「そうよね」
「ホームレスになっていてね」
「何処かで野垂れ死に?」
「例えホームレスになっても」
それでもというのだ。
「そんな人間性だとね」
「その中でも相手にされなくなるわね」
「ホームレスっていう辛い状況の中で」
「孤独になったら」
「余計に生きにくいし」
そうした状況に陥ってというのだ。
「そもそも何も出来ないのよ」
「何も努力してこなかったから」
「そこまで辛い状況で全く無能なら」
「それなら」
「もうよ」
「生きられないわね」
「そうなったら」
それこそというのだ。
「一つだけよ」
「辿る運命は」
「野垂れ死にしかね」
「ないから」
「だからね、咲が今言った通りに」
「その人はもう」
「死んでるかもね」
そうなっているというのだ。
「もうね」
「何かそれで死んでたらね」
咲はここまで聞いて悲しいがそこに自業自得という文字も出して何処か達観した様な顔になって母に言った。
「これ以上はない位空虚で無意味な」
「そんな人生よね」
「そう思うわ」
「お母さんもよ、何も努力しないでね」
そのうえでというのだ。
「何も持ってないし出来ないのにね」
「ふんぞり返って」
「誰からもよく思われなくて」
「何もしたこともなくて」
「何も残してなくてね」
それでというのだ。
「嫌われて忌まれてね」
「それで死ぬとか」
「こんな恰好悪くて意味のない人生はね」
「ないわよね、そんな人生はね」
咲はあらためて言った。
「送りたくないわ」
「そう思うなら何かしら努力することよ」
「お勉強でも」
「何でもね、いい大学行くだけが人生じゃないけれど」
それでも
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