第百四話 八月の終わりその十二
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「お話聞いてても結構ね」
「年齢重ねてるってわかるでしょ」
「ええ」
先はそれはと答えた。
「聞いてるとね」
「それでもね」
「全然成長しなかったのね」
「だって子供というか中二病ってあるでしょ」
「というか私にその話したら」
中二病のとだ、咲は即座に言った。
「もうね」
「専門みたいなものよね」
「漫画とかラノベで出て来るから」
「中二病っていうのは」
「それをテーマにした作品もあるし」
漫画やライトノベルにはというのだ。
「アニメにだってね」
「あるから」
「だからね」
咲は母にさらに話した。
「私にそのことを聞いたらね」
「詳しく言えるわね」
「ええ」
母にその通りだと答えた。
「本当にね」
「そうよね、あんたは」
「一言で言うと自分は特別だってね」
咲は中二病について極めて簡潔に述べた。
「オッドアイとか封印とか転生とか戦闘とか色々勝手に設定加えていって」
「まあ要するに特別だって思うことよね」
「自分をね、だからその人は」
「中二病ね」
「自分をこの世で一番偉いってよ」
「いい歳して思っていたのね」
「この言葉から中学二年生位の子がなるもの?」
「まあその頃に変にね」
咲も否定しなかった。
「なるって思ってね」
「いいのね」
「ええ、ただ大人になって結婚して」
「いい歳になって」
「それで自分はこの世で一番偉いとか」
その様にというのだ。
「勘違いする中二病ってね」
「おかしいわよね」
「その人馬鹿でしょ」
咲は眉を顰めさせてこうも言った。
「本当に中学二年っていうかね」
「まだ子供になるものね」
「思い込むのよ、それがいい歳してって」
「三十代四十代でそう思っていたのよ」
「何の努力もしてこなくて」
「何も持ってなくて出来なくてもね」
それでもとだ、母も言った。
「甘やかされてずっと本ばかり読んで」
「そうなったのね」
「そうなのよ」
「何かそうなるって思ったら」
咲は真顔で言った。
「人間努力しないとね」
「そう思うでしょ」
「ええ、そうはなりたくないわ」
咲は内心恐怖も感じつつ言った、若しそんな人間になってしまったら人間として終わりだと心底思ってだ。
「何があってもね」
「そうでしょ、お母さんもそのお話を聞いて」
母もと答えた。
「思ったわ」
「そうよね」
「図々しくて感謝の気持ちもなくて」
「不平不満ばかりで」
「それでそうだから」
だからだというのだ。
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