第百四話 八月の終わりその十
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「酷い人になるのよ」
「そうなのね」
「だから努力はね」
「必要ね」
「ええ、お勉強もで」
それにというのだ。
「他のね」
「そうしたことも」
「そう、何でもね」
それこそというのだ。
「努力すればね」
「いいのね」
「何かになれるわよ」
「それで逆に」
「何も努力しなかったらね」
「何にもなれないってことね」
「そんな人もいるから」
世の中にはというのだ。
「咲みたいにお勉強もね」
「しなくて」
「部活もしなくて」
そしてというのだ。
「アルバイトもね」
「しなくて」
「それで高校卒業してもね」
「やっぱり何もしないの」
「そう、お仕事すらね」
それもというのだ。
「しなくて」
「何もなくて」
「そのまま一生過ごす人もね、それでいてね」
母はさらに話した。
「ふんぞり返ってるのよ」
「何もしなくても?」
「それでもね」
「それって神戸の本校の近くの天理教の教会の」
咲もここで言った。
「あそこの信者さんよね」
「こっちでも有名なのね」
「悪い意味でね」
「お母さんが大学生だった頃から有名だったのよ」
「その人は」
「そう、教会に行ってもね」
その時にもというのだ。
「お布施もお供えもしないで」
「それでご飯一杯食べていたのよね」
「天理教って月並祭っていう式の後でお食事出るけれど」
「その時に物凄く食べたのよね」
「そう、お布施しないでいい煙草吸って」
そうしてというのだ。
「そうしたことはしなくて色々お世話になっても」
「感謝しなくて文句ばかりで」
「しかも働かないで偉そうなことを言って」
「それで何も出来なくて」
「挙句奥さんに離婚されたのよ」
「それまでずっとお世話になってた奥さんにも文句言ったのよね」
咲は嫌そうに言った、その人が一体どういった人なのか聞いているのでそのうえで言ったことである。
「親戚のお家にも四時に今日行くで」
「行っていいかじゃなくてね」
「それでお邪魔しますも言わないで来て」
「やっはりご飯一杯食べて」
「夜三杯半、朝二杯半で」
「おかずも食べて人のお部屋に勝手に入って本漁ってね」
母はさらに言った。
「読んだ本にも文句よ」
「感謝とか恩とかなかったのね」
「それで図々しいでしょ」
「お友達に持ちたくない位ね」
咲はこう返した。
「絶対にね」
「それで自分はこの世で一番偉いだったのよ」
「何も努力しないとそんな人になるのね」
「本当にこの人なにもなかったのがね」
このことがというのだ。
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