第百四話 八月の終わりその九
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「思うことはね」
「事実ね」
「ええ」
こう母に答えた。
「もうそれはね」
「あんたも否定しないわね」
「お母さんもよね」
「お母さんのことじゃないけれど」
それでもとだ、母は答えた。
「あんたの将来に有利ならね」
「いいのね」
「ええ、ただいい大学出てそれでいけるか」
「そうでもないわよね」
「それで人脈とか派閥とかも出来るわよ」
出身大学でというのだ。
「それもあるけれど」
「それだけじゃないわよね」
「それだけで世の中やっていけたら」
「楽よね」
「駄目な人はどんな大学出てもよ」
「駄目よね」
「実際そんな人もいるしね」
どんな大学を出てもというのだ。
「受験勉強はしても努力はしなくて」
「そこから」
「もう全くね」
それこそというのだ。
「それでよ」
「駄目になった人ね」
「だから東大法学部出てもおかしな人もね」
「いるのね」
「そうよ、人生ずっとよ」
「努力よね」
「それで受験勉強だけ努力して」
そしてというのだ、実際にそうした人生を送ったとしか思えない様な人物は世の中にはいるものだ。
「他の努力はね」
「しなかった人もいるわね」
「まあその受験勉強すらね」
いいと言われる大学に入る為のだ。
「そうした努力をしない人もね」
「いるわね」
「もうただね」
「生きているだけで」
「一切よ」
まさにというのだ。
「何の努力もよ」
「しない人がいて」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「そのまま大人になった」
「何それって人ね」
「そんな人もいるけれど」
「そんな人どうなるのかしら」
咲は首を傾げさせて言った。
「一体」
「何にもならないわよ」
これが母の返事だった。
「もうね」
「ならないの」
「そう、生きてるだけの」
「何にもならないのね」
「一切努力しなかったら」
その人生でというのだ。
「それこそよ」
「何にもならない」
「生きているだけで」
それでというのだ。
「空虚っていうか」
「何も持ってない?」
「そして何も出来ないね」
そうしたというのだ。
「無能それもね」
「ただの無能じゃなくて」
「それを極めた様な」
そうしたというのだ。
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