第五幕その十二
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「そやけどな」
「勝ちましたか」
「そや、笑ってもらったら」
自分のネタでというのです。
「それでや」
「お笑いは勝ちですか」
「ああ、人に笑ってもらったら」
魔法使いが言ってきました。
「それ自体がね」
「勝ちやな」
「そうだね、私もマジックをするから」
「あんたはそれで有名やな」
「元々手品師だったしね」
「マジシャンやな」
「今も魔法はそうしたものが多いし」
魔法使いが使う魔法はです。
「それで笑ってもらったり喜んでもらったら」
「勝ちやな」
「そうだね、つまり誰かに勝つんじゃなくて」
そうではなくてというのです。
「笑ってもらう」
「そのこと自体がやな」
「勝ちだね」
「そやな、お客さんに笑ってもらったら」
そうなったらというのです。
「もうそれがな」
「勝ちだね」
「そういうことや」
魔法使いに笑ってお話しました。
「そやからわしもや」
「勝ちを目指してるんだね」
「いつもな、時代劇も刑事もんもええが」
そうしたドラマもというのです。
「この街におったらな」
「お笑いだね」
「元々そっちの人間やしな」
ご自身はというのです。
「そやからな」
「お笑いでだね」
「勝ってくで」
こう言うのでした。
「そういうことでな、ほなわしはここで降りるけどな」
「お家が近くなのかな」
「そや、それでや」
「次の駅でだね」
「降りるで、ほなまた」
「機会があればね」
「会おうな」
笑顔で言ってでした。
藤田さんは次の駅で降りました、その藤田さんを見送ってです。
リンキティンク王は庶民的で活気のある街並みも見て言いました。
「ほっほっほ、ああした人もおるとわかると」
「尚更ですか」
「この街が好きになったわ」
こうナターシャに答えました。
「活気があって飾らない街並みにな」
「ああした人がおられるなら」
「好きにならずにいられぬ」
こう言うのでした。
「まことにのう」
「そうですね、じゃあ今は」
「このチンチン電車に乗ってな」
そうしてというのです。
「社葬も楽しもうぞ」
「わかりました」
ナターシャも他の子達も笑顔で応えました、そうしてです。
皆でチンチン電車の小旅行も楽しみました、それもまたいいものでした。
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