第五幕その九
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「それをこの街ではじゃ」
「チンチン電車とーーですーーか」
「呼んでおるのじゃ」
そうだというのです。
「これがな」
「そうーーですーーか」
「それでお主がそう言ったし」
自分が引いたおみくじを見てです。
「それならな」
「これからはーーですーーね」
「そうじゃ、チンチン電車にじゃ」
それにというのです。
「乗ろうぞ」
「それーーでは」
チクタクも頷きました、一行はこうお話してです。
神社を出て少し離れた場所にあるそのチンチン電車の駅に入ってです。
そのうえで乗ってその動きや車窓からの景色を観ました、そうしてチクタクはこんなことを言いました。
「いいーーですーーね」
「そうじゃのう、周りはな」
リンキティンク王も街並みを観て言います。
「家もアパートもマンションもな」
「いい感じーーですーーね」
「うむ、町工場や店もあってな」
そうしてというのです。
「よいのう」
「そうーーですーーね」
「いやあ、人がいて生きている」
王子も目を細めさせて述べます。
「それが出てです」
「いいのう」
「この街は」
「人が何処でもな」
まさにというのです。
「活気よく楽しくな」
「暮らしていますね」
「そうした街でな」
それでというのです。
「実にじゃ」
「風情がありますね」
「活気があって親しみやすいな」
「そうしたものがですね」
「うむ、だからな」
それでというのです。
「今はわしもな」
「楽しまれていますね」
「そうじゃ」
まさにというのです。
「心からのう」
「それは何よりですね」
「この明るさと賑やかさは最高じゃ」
「お日様の様に明るいですね」
「そうじゃ、それとじゃ」
「それと?」
「あそこにこの前観客席におった人がおるぞ」
ここで、でした。リンキティンク王は。
道を歩いている痩せて眼鏡をかけた角刈りの人を見て言いました。
「あの人じゃ」
「あの漫才師の」
「うむ、この辺りに住んでおるか」
「そうかも知れないですね」
「漫才師の人もこの辺りに住んで折るか」
「身近ですね」
「道理で親しみやすい筈じゃ」
こう言うのでした。
「飾らなくて」
「そうですね」
「それがこの街や」
丁度ここで、でした。
面長で丸い目の飄々とした感じの男の人が言ってきました、スーツが似合っていて何処かサラリーマン風です。立って右手に吊り革を握っています。
「飾らんし親しみやすいな」
「そうなのじゃな」
「わし生まれは東京やけどな」
それでもというのです。
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