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第二十三話 剣生その五

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「もうね」
「そこまで言われますか」
「ええ、ではね」
「今から」
「剣を生むわ、受け取って」
 こう言ってだった。時鼓は立ち上がった。するとその身体が白く眩いまでに輝きその腹から銀の刃が出て。
 そのまま柄まで出た、生み終えた時鼓は腹から血を噴き出しながらも満足した笑顔で言った。
「これでね」
「終わったというのか」
「私の役目は。後はね」 
 神威にだ、生み終え鮮血の海の中で話した。
「貴方の番よ」
「俺の」
「選択の時がね、そしてね」
「戦いに入る時か」
「ええ、後は選んで」
 そしてというのだ。
「その運命のままにね」
「戦いそしてか」
「大切なものを護りなさい」
 こう言うのだった。
「いいわね」
「大切なものをか」
「何の為に戦うのか」 
 神威にさらに話した。
「ただ戦いたいからかしら」
「いや、違う」
 神威はその言葉を首を横に振って答えた。
「決してな」
「そうよね、殺戮や破壊の為でもないわね」
「俺はそんなことでは戦わない」
 絶対に、そうした言葉だった。
「決して」
「それなら答えは一つね」
「護る為にか」
「そうよ、そうして最後までね」
「大切なものを護り抜くことか」
「そうしなさい」
 運命を選択してというのだ。
「いいわね」
「わかった、ではな」
「ええ、姉さんと一緒に見守っているわ」 
 二人の間に青い光をまとって浮かぶ剣を挟んで話した。
「貴方をね、ではね」
「これからだな」
「大切なものを。護りなさい」
 最後もこう言ってだった。
 時鼓は鮮血の海の中に倒れた。昴流はその彼女のところに行くと式神を出してまずは血を奇麗にしてからだった。
 時鼓の顔を見てだ、神威に言った。
「亡骸は事故死ということで」
「話が済むか」
「僕の方で話をしておくよ」
「そうか、済まない」
「君のお母さんのお墓は何処かな」
「東京にある。遺骨を持って来てな」
 沖縄から東京にとだ、神威は答えた。
「そしてだ」
「収めているんだね」
「もうな。父さんも一緒だ」
「そうか。それなら」
「父さん達が姫様の傍にいたとは知らなかったが」
 それでもとだ、神威はさらに話した。
「おそらく二人のお墓もな」
「そちらにあるね」
「おそらくな、今思えば」
「なら話は早い。ではな」
「それではだね」
「叔母さんもな」
 時鼓をこう呼んだ。
「そこに入ってもらおう」
「それではな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
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