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第二十三話 剣生その四

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「夫婦になったのよ」
「そうでしたか」
「そしてね」
 それでというのだ。
「戦いのことも知っていたわ」
「姫様からですか」
「教えてもらっていたのよ」
「元々縁があってお母さんのこともあって」
「そうだったのよ」
「全部つながっていたんですね」
「それでその時姉さんは剣を生まなくて」
 紗鵺が身代わりとなってというのだ。
「沖縄でお務めを果たしていたわ」
「その務めは戦いと関係がありますか」
 嵐がこのことを問うた。
「そうなのでしょうか」
「東京のことではないけれどね」
「やはりありましたか」
「ええ、あの時東京にまで害を及ぼすよからぬ人達がいたのよ」
 沖縄にというのだ。
「姉さんは人知れずその人達とね」
「戦っていた」
「そうだったの、とんでもない邪教の一団で」
「邪教ですか」
「おぞましい儀式を行って人も国家も呪詛してね」
「危害を及ぼす」
「そうした組織でね」
 それでというのだ。
「姉さんは彼等を滅ぼしたけれど」
「あの時か」
 神威は母が死んだその時を思い出してはっとした顔になって言った。
「家が焼けた」
「そうよ、あの火事はね」
「その連中の呪詛だったのか」
「組織を滅ぼして」
 その邪教徒達をというのだ。
「神威と共に東京に帰ろうとしたら」
「そこでか」
「邪教徒達が残した呪いが動いて」
 そしてというのだ。
「それがあまりに強くて」
「母さんもか」
「防ぎきれなくて。貴方や東京への呪いは封じられても」
「母さん自身はか」
「出来なくて」
 それでというのだ。
「あの時にね」
「そうだったのか」
「姉さんにそのお務めがあって貴方が一人になるから」
「おばさんは贄になったか」
「そうだったの、そして姉さんも」
「そうしてか」
「死んでね、そしてね」
 時鼓はその顔を真剣なものにさせて語った。
「貴方が東京に来て天の龍が揃って」
「今度はか」
「私が務めを果たす時が来たのよ」
「では今から」
「ええ、受け取りなさい」
 微笑んでだ、時鼓は神威に告げた。
「天の龍の剣をね」
「いや、待って下さい」
 空汰はその時鼓に言った。
「あの、これまで聞いてましたけれど」
「剣を生むとというのね」
「貴女が」
「だからそれもね」
「運命で、ですか」
「覚悟を決めているから」
 それでここにいるからだというのだ。
「全くね」
「気にすることはないですか」
「そうよ」
 微笑みのまま返答をした。
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