第二十三話 剣生その一
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第二十三話 剣生
時鼓は話をはじめた。
「姉さんは元々丁様にお仕えしていたのよ」
「そうだったのか」
「ええ、誰にも言わなかったけれど」
それでもというのだ。
「そうであってね、そこでね」
「姫様のところでか」
「当時姫様をお護りしていた人と知り合って」
「玳透君の役目をですか」
今度は征一狼が応えた。
「務めていた人に」
「土使いのね」
「その人にですか」
「司狼八咫、土使いの家の志勇家の分家の人で」
「その方とですか」
「知り合って恋仲になって」
そしてというのだ。
「そのうえでね」
「一緒になって」
「それで丁様にお仕えしていたのよ」
「そういえばだ」
神威はここまで聞いて気付いた顔になって言った。
「ずっと母さんの仕事はだ」
「わからなかったわね」
「東京にいた時もそうでな」
「沖縄でもよね」
「そうだった」
「実は貴方のお父さんは貴方が物心つく前に事故で亡くなったのよ」
このこともだ、時鼓は話した。
「交通事故でね」
「地の龍は関わっていないのか」
「全くね、不慮のね」
それのというのだ。
「そうであって」
「それでか」
「普通にね」
それでというのだ。
「事故だったから」
「そのことは心配しなくていいか」
「その頃まだ戦いの話もなくて」
「父さんと母さんはか」
「普通に暮らしていたのよ」
丁の傍でというのだ。
「そして沖縄でのお仕事でね」
「母さんは沖縄に行ったか」
「今度は影贄としてね」
その立場でというのだ。
「行ったのよ」
「そうだったのか」
「急に神威ちゃんが引っ越して」
小鳥はここまで聞いて述べた。
「どうしてか」
「わからなかったのね」
「はい、ですが」
「そうした事情があったのよ」
「そうだったんですね」
「そして私もね」
時鼓は自分のことも話した。
「姉さんと一緒にね」
「姫様の傍にか」
「お仕えしていたのよ」
「今の緋炎さん蒼氷さんの様なものか」
「先代の彼女達にあたるわね」
そうだという返事だった。
「私達は」
「そうだったか」
「姉さんが去って」
沖縄に行ってというのだ。
「私は一人になったから」
「あっ、緋炎さんと蒼氷さんに引継ぎをして」
空汰はすぐに察して言った。
「それででっか」
「そう、私も普通のお仕事に就いたのよ」
「そうでしたか」
「そして今までね」
「そちらで働いておられて」
「先日退職してね」
そしてというのだ。
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