第八十五話 プラーカ窓外投擲事件
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、ダーボルに向かって吐くと、ヂシュカは掴みかかってきた。
「落ち着けヂシュカ。俺達はなにも、放火をするだけに城に潜入したわけじゃないぞ?」
「なに……? どういう意味だ」
ヂシュカは、ダーボルの胸倉から手を離した。
「ふふ、教えてやろうか。あの城の主人は、既にこの世の者では無いわ!」
「……な、なんだと!?」
ヂシュカは脳天から電撃を受けたような衝撃を受けた。
だが同時に、心の何処かで重苦しい暗雲が去り、晴れやかな青空が広がった。早い話がスカッとしたのだ。
「ヂシュカ。俺と手を組まないか?」
「手を組むだと?」
「そうだ。ボヘニア独立の為にも、お前の力が欲しい」
「……むう」
ヂシュカは考えた。
(止めようにも、既に事は起きてしまった。今こいつらを見限れば、決起は鎮圧され独立の芽は永遠に失われてしまうかもしれない)
暴走のとはいえ、もう動き出してしまったのだ。ならば、ヂシュカのやることは一つしかない。
「……分かった。協力については承知した。これからの、具体的な独立プランを聞かせて欲しい」
「独立プラン? まずはプラーカを解放し、その余勢を駆ってボヘニア一帯を解放して回る、そんな所か」
「それだけか?」
「それだけだ。我らの気勢にゲルマニア人どもは気圧され道を開けることだろう」
……いくらなんでも計画がずさん過ぎる。
ヂシュカは心の中で呟いた
「甘いぞダーボル。皇帝が死んだとなれば、次の皇帝を決めるために内乱が起こる」
「結構ではないか。我々はその隙に乗じて、ボヘニアの解放を行えば良い」
「そうはならない。何故ならば、皇帝を殺した実行犯である我々を倒さない限り、次期皇帝を名乗る事はできないからだ」
「それは……」
黙ったダーボルにヂシュカは更に追い討ちをかけた。
「つまりは、だ。次期皇帝を狙う有力諸侯は、我らの反乱を鎮圧する事、無政府化したプラーカを『解放』する事で、新しい皇帝を名乗る大義名分を得ることが出来る」
「……馬鹿な、ボヘニアは我々の土地だ。故郷だ」
「言いたい事は分かる。昨日のフシネツ神父の件で、ゲルマニア連中に一撃食らわしたかった所に今朝の火災だ。正直スカッとした。認めるよ。だが、お前らの後先考えないやり方に、ボヘニアは窮地に立たされた」
「……念のために聞くが、ヂシュカ、お前ならどうする?」
「そうだな……」
ヂシュカは数秒考えると、ダーボルに向けて口を開いた。
「プラーカを捨て、何処か別の場所で身を潜め時間を稼ぐ」
「なんだと!? プラーカを捨てるだと!? 血迷ったか!!」
ダーボルは声を張り上げた。だが、ヂシュカは居たって
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