天馬の漢気
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ギルドの一員だけど今は別のチームということになっている。つまり彼が棄権するかどうかを決めるのはエルザさんたちなんだけど、普段冷静なはずの彼女たちも困惑しているのかそのことに気付けていない様子。
「こうなったら早く競技が終わるのを待つしか・・・」
一秒でも早く治療をしなければならないという焦り。ただ、今現在俺たちは闘技場に入ることができない。手を握り合わせ早く時間が過ぎてくれるのを待っていると、突然会場が歓声に包まれ、顔を上げる。
「え・・・」
何が起こったのかと顔を上げると、闘技場の中で先ほどまで倒れていたスーツの青年が立ち上がっているのだ。
『・・・』
『おい』
『はっ!!タクト選手!!たった今タイマーを消化しました!!これにより青い天馬が7位、妖精の尻尾が8位にて一日目競技パート・生存終了となります!!』
「「「「「ナツ(さん)!!」」」」」
「「「「「タクト!!」」」」」
競技が終わったことにより闘技場に張られていた魔力の壁がなくなり中へと入れるようになる。それを確認するとすぐさま俺たちと青い天馬のメンバーは闘技場へと駆け降りる。
「ナツ!!」
「しっかりしろ!!」
「動かさないで!!」
「私たちが治療します!!」
ボロボロになっているナツさんへと治癒の魔法をかける俺とウェンディ。その最中、タクトさんの方には王国の衛生兵が駆け付けていた。
「タクト!!」
「大丈夫か!?」
立ったまま微動だにしない彼へと声をかけるレンさんとヒビキさん。顔を覗き込んだ彼らはその表情を見て絶句した。
「気を失ったまま・・・」
タクトさんは意識を失ったままその場に立っていたのだ。生気を失った瞳をしている彼はただ立ち上がらなければならないという意志だけで今の状態を保っている。
「メェーン・・・やってくれたな」
鋭い眼光で狩猟豹の頭のシルフェの方へと視線を向ける一夜さん。だが、彼は今の男の状態を見て何も言えなくなっていた。
「ご苦労だったな」
肩が外れたことにより力なくぶら下がっているだけの右腕。意識を失い、背の高い男に担がれその場から連れ去られる彼のその腕が歩みによる震動で揺れている。
「一夜さん」
「これは魔闘の大会・・・こういうことも起こりうるだろう」
担架に乗せられて運ばれていく二人の青年。彼らをそのような状態にした敵も同様になっており悪意を向けることはできない。ただ、それでも一夜さんの表情はいつものようなイケメンを装ったものとは異なっていた。
「タクト、君の無念は私が晴らそう」
運び出される仲間の姿を見ながら、彼は覚悟を決め
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