天馬の漢気
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う。
「この・・・」
利き手と思われる右肩が外れてしまったことにより反対の手で殴りかかるが、不慣れなのか動きが鈍く難なくタクトさんは回避すると、長身を屈めた彼はバネを使い彼の顎へと拳を打ち上げる。
「がっ!!」
その一撃により宙を舞ったシルフェは地面へと叩き付けられる。しかし、彼はすぐに身体を起こして立ち−−−
「なんだ?」
立ち上がろうとしたシルフェだったが、彼は膝をついたまま動こうとしない。ダメージが大きかったのかとも思ったけど、呼吸が乱れておりどこかおかしいのは誰が見てもわかる。
「これで・・・決める!!」
だがこれは相手からすれば好機。タクトさんは動けない彼へとその長い腕を広げて魔法を放つ。
「音楽魔法・・・翼!!」
シルフェの風を上回るほどの風を起こしながら加速した彼は、動くことのできない相手へと飛ぶように突進していった。
第三者side
目の前から迫ってくる相手に反応できていない男。そんな彼を見ていた仲間たちの表情は冷静だった。いや、冷徹と言った方が正確なのかもしれない。
「やっぱりキツいのね、あれは」
「仕方ない。そのリスクは事前に説明があったからな」
二人の女性は息を乱している男を見ながらそんな会話をしているが、仲間のピンチにも関わらず二人は笑っているようにすら見える。それは余裕があるというよりも、嘲笑っている要素の方が強いと感じた。
「大丈夫なのか?あいつは」
見守っている狩猟豹の頭の中で一人だけ不安そうな顔をしている青年。そんな彼に後ろにいた長身の男は笑いも焦りも見せずに答えた。
「ダメだろうな、恐らく」
その一言に全員が言葉を発せなくなる。だが、男はすぐに言葉を紡いだ。
「だがあいつは役割を果たした。それに、ターゲットが向こうから来てるんだ。ここでカウンターを仕掛けられれば、それで十分」
小刻みに震えているように見えるシルフェの身体。そんな彼だったが、顔は向かってくる敵へとしっかりと向けられていた。
「刺し違えてでも奴を仕留めてくれればいい。あとは俺たちがなんとでもしてやる」
「くっ・・・」
その言葉に納得できないながらも何もできない自身を悔い、顔を伏せる青年。次に顔を上げた彼は仲間ではなく、一人の女性の方へと視線を向けていた。
「エルザ・・・」
シリルside
「これは決まる」
「うん」
タクトさんの一撃は確実に決まる。それは見ていた全ての人が理解していた。
「たぶんそれでタ
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