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神々の塔
第二十三話 南洋の神々その十二

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「二遊間どころか」
「もう連携も何もなくてね」
「めいめいがそこにおるだけやな」
「そやからただでさえ下手なのに」
 巨人ナインの守備はというのだ。
「連携も出来てへんから」
「余計に酷いな」
「守っている間に言い合う位よ」 
 巨人ナインの守備はというのだ。
「お前が悪いいやお前が悪いって」
「そこまで仲悪いな」
「ベンチでも取っ組み合いの喧嘩してね」
「そんな風やしな」
「ああなのよ」
 守備が全く駄目だというのだ。
「ゲッツーも満足に取れない」
「そんな風ね」
「そやからね」
 だからだというのだ。
「あの弱さなのよ」
「そやな、ほんま巨人はな」
「あたい達も反面教師にしてね」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「やっていかんとな」
「あのチームに肯定出来る要素はないから」
 一切だ、何もかもが悪いというケースも滅多にないが邪悪に満ちたこのチームではそれが常であるのだ。
「間違ってもね」
「ああならん様にな」
「その全てをね」
 それこそというのだ。
「観てね」
「ああはなるまいやな」
「そう思ってね」 
 そしてというのだ。
「やってくことやね」
「そや」
 中里はオレンジのカクテルを飲みつつ言った。
「それが大事や」
「そやね、やっぱり」
「それでお手本にするんは」
「阪神やね」
「暗黒時代が終わってな」
 一九八〇年代後半から二十一世紀に入るまで続いたそれがというのだ、兎角この頃の阪神は弱かった。
「それからはな」
「ずっと強いね」
「そうなったのはチーム内の雰囲気もええからな」
「十二球団最強の投手陣にダイナマイト打線に」
「チーム内の雰囲気もええさかいな」
「あそこまで強いんやね」
「それで今年もや」 
 中里はさらに言った。
「優勝や」
「そうなるね」
「起きた世界でもそうでな」
 そしてというのだ。
「こっちの世界でもな」
「阪神優勝やね」
「それでワールドシリーズでもな」
 こちらでもというのだ。
「優勝や」
「そうなるんやね」
「こっちではそれもあるけどな」
 ワールドシリーズというものがというのだ、十星連合の領土内のそれぞれのリーグの覇者がリーグ戦を行い最後に勝ったチームが優勝となるのだ。
「そのワールドシリーズでもな」
「優勝やね」
「その阪神をや」
 まさにというのだ。
「僕等もお手本にするで」
「そうしてよおなってくね」
「そや」
 まさにと話してだ、それでだった。
 中里はまた飲んだ、そうして他の面々も飲んで食べていった、そのうえでまた神霊達に勝ったことを喜ぶのだった。


第二十三話   完


                   2023・4・23
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