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ハッピークローバー
第八十三話 映画館へその六

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「それだろ」
「それはそうだけれど」
「だったらな」
「もう行くことは前提なのね」
「ああ、それで何処に行くんだ」
 越智は富美子にあらためて尋ねた。
「一体」
「いや、行きたいって思ってたけれど」
 場所までは考えていなかった、それで返答に窮して答えた。
「そこまではね」
「考えてなかったのかよ」
「そうなの」
「だったら映画観に行くか?」
「映画館?」
「ああ、面白そうな映画があるんだよ」
 越智は自分から言った。
「ホラーでな」
「ホラー映画ね」
「フィンランドのな」
「フィンランドっていうと」
 その国のホラー映画と聞いてだ、富美子は考える顔で返した。
「サンタさんを発掘して」
「その映画やってるんだよ」
「あの映画フィンランドから来てる娘に聞いたけどね」
「同級生のか」
「そう、中一の時同じクラスで今農業科にいるね」
「その娘から聞いたんだな」
「ええ、そんな映画があるって」
 フィンランドにはというのだ。
「トナカイや子供襲って最後は裸で団体で出て来る」
「その映画だよ、俺も多分その娘に聞いてな」
「興味持ってたのね」
「そんな映画があるってな」
「それ観に行くのね」
「八条百貨店の中の小映画館でやっててな、同時上映もあるよ」
 越智はさらに話した。
「ドラえもんな」
「いや、ホラー映画とドラえもんって」
 その組み合わせにだ、富美子は思わず声をあげた。
「ちょっとないでしょ」
「いや、ドラえもんは永遠の名作だからな」
「上映してるの」
「あの映画館子供向けの作品もよく上映していてな」
 それでというのだ。
「結構な頻度でな」
「ドラえもんやってるの」
「劇場版な」
「大長編ね」
「ドラえもんズもやってるぜ」
 こちらのシリーズもというのだ。
「チェックしたらな」
「ああ、あの七人のドラえもんが出て来る」
「世界各国のな」
「あれね」
「この前うちのクラスのフランスの奴が嬉しそうに話してたよ」
 そのシリーズのことをというのだ。
「ルパンになって出て来てたってな」
「ドラえもんが」
「しかも声優さんが滅茶苦茶よかったってな」
「七人共凄い声優さんだったのよね」
「ああ、それでフランスのドラえもんも凄い人でな」
「その子も満足してたの」
「ああ、普通に最高のドラえもんがな」
 この作品がというのだ。
「尚更な」
「最高だって言ってたのね」
「トレビアンだってな」
「出たわねフランス語」
「本人が言うにはイタリアでもスペインでも通じる便利な言語らしいな」 
 これは同じラテン系の言語だからだ、その為イタリアオペラを歌えるのならフランスオペラも普通に歌える。
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