第二章
[8]前話
「今日もなの?」
「いいか?」
隣で寝ている妻に言うのだった。
「今日もな」
「あの娘のことはいいの?」
妻は自分の上に覆いかぶさってきた夫に問うた。
「霞弥生ちゃんは」
「だってな」
夫は妻に上から答えた。
「あの娘は二次元でな」
「現実じゃないから」
「こうしたことなんてな」
それこそというのだ。
「絶対にな」
「出来ないっていうのね」
「大体結婚してるんだぞ」
修司はこのことも言った。
「それでな」
「こうしたことはなのね」
「誰ともな」
それこそというのだ。
「そんなことをしないよ」
「そうなのね」
「だからな」
「今夜もなのね」
「ああ、いいよな」
「私だって好きだし」
夫を拒まずに言葉を返した。
「悪い筈ないでしょ」
「そうか、じゃあな」
「今夜もね」
「宜しくな」
「こっちこそね」
二人でだ、こう話してだった。
夫の身体を抱いた、それからはいつも通りだった。
そして翌日彼は霞弥生の配信を視聴してから妻に言った。
「いや、今日もな」
「よかったのね」
「最高だったよ」
うっとりとして言うのだった。
「何もかもがな」
「本当に好きなのねその娘が」
「大好きだよ」
一も二もない返事だった。
「本当に」
「そうよね」
「毎日観てるし今日もでな」
それでというのだ。
「明日もな」
「観るのね」
「そうするな」
「変わらないわね」
そんな妻を見てだ、夫は笑顔で話した。
「本当に」
「好きだからな」
「だからこれからもなのね」
「楽しんでくな」
こう言ってだった。
彼女の過去動画も観るのだった、そんな夫を見てやれやれと思いつつもだ。
もう沙知絵は何も言わなかった、彼を暖かい目で見て一緒にいるのだった。
二次元アイドルに夢中になっても 完
2023・6・25
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