暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第158話:君が欲しくて
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は颯人の容態であった。

「颯人! 大丈夫か、しっかりしろ!」
「ぐぅぅ……!? コイ、ツ……俺の中で、暴れて……!?」

 胸の中を掻き毟られる様な苦痛に、意識を失う事も出来ずに苦しむ颯人。そこにウィズとガルド、そして回復した透が駆け寄ってきた。

「颯人!?」
「ハヤト、どうした!?」
「ウィズ! 颯人の中にファントムが入ったって……!」

 奏の言葉にウィズの仮面の奥から絞り出すような唸り声が上がった。

「マズイな……クソッ! ワイズマンの奴、何故奴を解き放ったのだ!」

 文句を垂れながらウィズが颯人の右中指に指輪を嵌めさせる。そしてその手を自分のハンドオーサーに翳させた。

〈エンゲージ、ナーウ〉
「コイツは私達で何とかする。ガルド、行くぞ」
「分かった!」
〈エンゲージ、プリーズ〉

 魔法を発動させると、颯人の上に魔法陣が浮かび上がる。ウィズとガルドがそれに飛び込むと、魔法陣は何事も無かったかのように消えた。

 その光景を見て、透は一度クリスに目を向けた。透からの視線を感じ、一瞬そちらを見たクリスだったが直ぐに顔を逸らしてしまった。
 自分から顔を逸らしたクリスに透は肩を落としつつ、自分も颯人を助けるべく彼の手を取りハンドオーサーに手を翳した。

〈エンゲージ、ナーウ〉

 2人に続き、透も魔法陣の中へと飛び込んだ。それを見送った奏は、颯人の苦しみを少しでも和らげようとしているかのように彼の手を握りしめる。

「颯人……」

 心配そうに呟く奏の声。それをかき消す様に、周囲には颯人の苦しむ声が響き渡っていた。
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