七十三 正義と悪
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たが、火力はまだ変えていない。
最大火力のままだ。
だから。
力こそが全て。
そう信じてやまなかった。
あの幼な子の力こそがミズキの全て。
そう望んでやまなかった。
あの幼い子どもが夢を叶えられるように、と願う。
あの子どもが抱く夢を応援したい、と心から望む。
それがミズキの正義で理想で信念だ。
だから、イルカの理想とは真逆の現実を選ぶ。
これが忍びだと現実を突きつける。
それがせめてものミズキにできる──ナルトへの手向けだった。
「だけど…どうせ焼かれるなら、」
燃え盛る炎の中で、ミズキのものではない月光ハヤテの顔が苦痛に歪む。
顔も身体つきも声も髪の色もまったく違う、他人の姿かたちが火の中で嘆いた。
「こんな赤い火なんかじゃなくて、」
思い出す。走馬灯の如く、脳裏に蘇る。
事実、それは走馬灯だった。
あの時あの瞬間あの時点で。
魅入られ、囚われ、心を掴まれた。
眼に焼き付いて離れない。
決して忘れることのない、忘れることなど出来ないあの鮮烈な蒼の炎。
(──あの青に焼かれたかったなァ…)
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