第百四話 八月の終わりその一
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第百四話 八月の終わり
この日はアルバイトも部活も休みでだ、咲は自宅でのんびりとしていたが母に午前十時頃に聞かれた。
「あんた今日何もなしなのね」
「久し振りに何処にも行かない休日よ」
咲は母に半分寝ている感じの顔で答えた、白いティーシャツに膝までの緑のジャージに頭に髪の毛が顔にかからない為にしてあるヘアバンドがありその髪の毛はぼさぼさでノーメイクである。見れば服自体がくたびれている。
「というか夏休みに入って」
「そうした日ね」
「そうなのよ」
「愛ちゃんと会う約束もないの」
「お姉ちゃん今日はずっとアルバイトだから」
それでというのだ。
「もうね」
「あんた完全なフリーなのね」
「そうなの」
これがというのだ。
「だから朝起きてからずっとゲームしてるの」
「そうしてるのね」
「駄目かしら」
「そうした日があってもいいでしょ」
これが母の返答だった。
「毎日じゃ駄目だけれどね」
「毎日何もないってね」
「それはあんたも嫌でしょ」
「かなりね」
こう母に返した。
「やっぱりね」
「けれどたまにはね」
「そんな日があってもいいのね」
「何もない休日もね」
「久し振りだけれど」
「それで今日はゲームするのね」
「ええ、モコのお散歩行ったわね」
「朝早くにね」
母はあっさりと答えた。
「行ったわよ」
「そうよね」
「夏は犬のお散歩はね」
「早いうちに行かないとね」
「涼しいうちにね」
「さもないとね」
どうなるとだ、咲は言った。
「犬って体温高いし人間より地面に近いところに身体あるから」
「アスファルトからの熱まともに受けるでしょ」
「そうなのよね」
「だからね」
その為にというのだ。
「身体にね」
「悪いのよ」
「犬って身体から熱逃げにくいし」
「身体中毛で覆われてるでしょ」
母はケージの中のモコを見つつ話した。夏用に短く刈られた毛も少しだが伸びてきている。そのうえで今は丸くなって寝ている。
「それで犬の汗はね」
「舌からしか出せないから」
「もう体温下げるのがね」
「大変なのよね」
「だからね」
そうした身体の仕組みだからだというのだ。
「夏はね」
「早い涼しいうちに行って」
「夕方のね」
「また涼しくなった時に」
「行くのよ」
「それが犬にもいいわね」
「特にトイプードルはね」
モコがその種類の犬であることからも話した。
「小さくて足も短いでしょ」
「モコは特にね」
トイプードルの中でも足の短いドワーフタイプである、しかも大きさもこの種類の中でも特に小さいティーカップである。
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