第五幕その三
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「それはよくないぞ」
「そうなんですね」
「自分が食べないからと言ってじゃ」
そうであってもというのです。
「他の人に食べるなと言うことはな」
「よくないですか」
「試しにわしが牛肉を食べんでじゃ」
リンキティンク王はお鍋の菜っ葉や鯨をぽん酢で食べつつ言います。
「お主達に食べるなと言うとどうじゃ」
「困ります」
「そんなこと言われても」
「僕達皆牛肉好きですから」
「幾ら王様が食べなくても」
「どんな理由でも」
ナターシャ達五人は皆それはというお顔になって答えました。
「人間の次に頭がよくても」
「牛肉美味しいですから」
「ステーキもハンバーガーも」
「何にしても美味しいですから」
「そう言われたら」
「そうじゃな、自分は食べないから人も食べなくてもよく」
そうしてというのだ。
「どんな理由でも食べるなと言うことはな」
「よくないですか」
「それは間違いですか」
「してはいけないことですか」
「自分がそうだから他人もそうしろと押し付けることは」
「どんな理由でも」
「左様、食べ過ぎると数が減るというのなら」
それならというのです。
「ちゃんと調べてな」
「そうしてですか」
「減らない様に食べればいい」
「そうすればいい」
「全部食べるなと言うと」
「よくないですか」
「何でも外の世界では生きものの数は減り過ぎても増え過ぎてもよくないね」
王子はさらしくじらを食べつつ応えました。
「そうだね」
「はい、そう言われています」
「どっちでも自然のバランスが崩れる」
「そうなりますから」
「そこは注意しないといけないって」
「バランスが大事だって」
「鯨もそうだね、増え過ぎるなら食べて」
そうしてというのです。
「調整することだけれど」
「食べるなって言うとですか」
「そこがおかしくなりますか」
「だからですか」
「そう言うとですね」
「かえってよくないんですね」
「そうだよ、そこがね」
何といってもというのです。
「大事だからね、だから鯨もね」
「食べるなって言うとですか」
「よくないですか」
「環境の意味でも」
「かえってですね」
「それもまたですね」
「そうだよ、何かね」
どうにもというのです。
「外の世界ではそれがわかっていない人が多かったみたいだね」
「その様じゃな、また誰かに言われて根拠なく食べないことはな」
またリンキティンク王は言いました。
「よくないぞ、だからな」
「それで、ですね」
「こうして僕達が鯨を食べても」
「いいんですね」
「それも美味しく」
「そうしても」
「そうじゃ、わしは誰が何と言ってもじゃ」
そうされてもというのです。
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