第五幕その二
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「お魚のものとはまた」
「違うね、けれどね」
カルロスが言いました。
「これはこれでね」
「美味しいよ」
ジョージも言います。
「かなりね」
「こんな食べものもあるんだね」
神宝は味と食感を楽しんでいます。
「成程ね」
「外の世界では食べたことがあるけれど」
日本人の恵梨香はそうでした。
「やっぱり美味しいわ」
「そうね、ただね」
ナターシャはさらに言いました。
「まさかこうしたものまでお刺身にするなんて」
「日本人は凄いのう」
「そうですね」
リンキティンク王が応えました。
「鯨までお刺身にするなんて」
「お魚だけと思ったら」
「それがな」
こうナターシャに言うのでした。
「海の幸ではあるが」
「お魚じゃないですから」
「それをな」
「お刺身にすることは」
「全く以てな」
「凄いです、しかし」
ここで、でした。ナターシャは。
少し考えるお顔になってこうも言いました。
「外の世界でのことですが」
「どうしたのじゃ?」
「はい、日本は鯨を食べたらいけないって」
「これをか」
「言われていたそうです」
「何でじゃ」
リンキティンク王は首を傾げさせて言いました。
「こんな美味いものを」
「人間の次に頭がいいからと」
「それなら牛が人間の次に頭がいいと食べぬのか?」
首を傾げさせたままこうも言いました。
「そうなのか?」
「それは」
「オズの国でもインド系の者は食べぬ者が多いがのう」
「宗教的な理由で」
「うむ、ヒンズー教徒は牛を食えぬのう」
「はい、絶対に」
ナターシャもそれはと答えました。
「出来ないです」
「しかしそうでないとな」
ヒンズー教徒でないと、というのです。
「牛を食べぬ者は菜食主義者でもないとな」
「あと嫌いでもないとですね」
「おらぬな」
「そうですよね」
「幾ら人間の次に頭がよかったとしても」
仮に牛がそうだったとしてもというのです。
「食べぬ者はそうでもないとな」
「ヒンズー教の人か」
「菜食主義か嫌いでもないとじゃ」
「いないですね」
「そうであろう、しかしな」
リンキティング王はさらにお話しました。
「鯨を食べる者は外の世界では少ないのじゃな」
「はい、日本とです」
それにとです、ナターシャは答えました。
「あとはノルウェーとかアイスランドとか」
「少しであるな」
「はい」
「殆どの国の者は食わんな」
「そうです」
「それで食わん国の者が言うならな」
それならというのです。
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