第二十二話 姉妹その十三
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「それはすぐに終わって孤独にはね」
「至らなかったんだ」
「そうだったから。そして私は普通に学校も行けて」
丁と違ってというのだ。
「そこで友達もいて今も表の仕事で」
「都知事さんの秘書さんだってね」
「公務員としてのね」
都庁に勤めるというのだ。
「そうよ」
「そうだったね、庚は」
「同僚、先輩後輩に部下に知事さんもね」
「おられて」
「何だかんだで悪い人達でもないし」
都知事も含めてというのだ。
「孤独は感じていないわ。貴方達もいるし」
「庚は孤独を感じないんだ」
「全くね」
「そしてそのことがいいんだ」
「幸せよ、孤独の辛さを味わうことがないなら」
それならというのだ。
「本当にそれだけね」
「幸せなんだ」
「そうよ、孤独はその中に入ると地獄なのよ」
またこう言うのだった。
「そしてそれから逃れられないのならね」
「余計になんだ」
「ええ、どれだけ辛い地獄か」
「ではです」
遊人は庚のその話を聞いて微笑んで話した。
「僕達はこれから来る人達も含めてです」
「地の龍はなのね」
「誰もが孤独ではなく親しみを感じる様にしましょう」
「私達はね」
「はい、そうしていきましょう」
庚にその微笑みで以て話した。
「是非」
「そうね、私達はね」
「ずっと一緒ですよ、何があっても」
「ええ、八人でね」
地の龍の七人そこに庚を入れて八人だった。庚はそこに自分達なりの絆を見出してそのうえで遊人の言葉に頷いた。
「いましょう」
「皆でいましょう」
遊人はまた笑顔で言った、庚は少なくとも孤独を感じずそのことに幸運さえ感じていた。だがそれでもだった。
「姉さんのことはね」
「どうしてもですか」
「私ではどうにも出来なかったから」
夢の中で牙暁に俯いて暗い顔で答えた。
「悔やまれて仕方ないわ」
「孤独は地獄ですね」
「そこにずっといるのなら」
孤独の中にというのだ。
「あまりにも辛くてね」
「それで、ですね」
「姉さんの負の感情が増大して」
「そのうえで」
「そしてね」
それでというのだ。
「もう一人の姉さんがよ」
「出てしまいましたね」
「そうなったわ。孤独に耐えられる人はね」
「少ないですか」
「ごく稀よ。まして姉さんは繊細だから」
「孤独にはですね」
「耐えられなかったのよ」
「そうですね、あの方は」
牙暁も目を閉じて悲しい顔で答えた。
「あまりにも繊細な方で」
「どれだけ気丈にいようとしても」
「孤独には耐えられなかった」
「姉さん自身が気付かない間にね」
そうであったというのだ。
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