第一章
[2]次話
犬にとってのヒーロー
ふわりは国崎家の一家三人全員によく懐いている、完全に一家の末っ子の女の子になっていて幸せに暮らしている。
だがその中で特にだ。
「俺に懐いてるな」
「そうね」
国崎家の主婦百合子は夫の文太に応えた。
「ふわりはね」
「一番な」
「そうね」
「何でだ」
文太はその理由を考えた。
「俺に一番懐くんだ」
「そういえばあなたこれまでね」
「別に生きものに好かれたことはな」
「なかったわね」
「嫌われもしなかったけれどな」
それでもというのだ。
「けれどな」
「そうよね」
「それがな」
「ふわりにはね」
「随分とな」
これがというのだ。
「懐いてるな」
「それがどうしてか」
「わからないんだがな」
「それはね」
どうしてかとだ、百合子は夫に答えた。
「あなたがヒーローだからでしょ」
「ヒーロー?俺がか」
「ふわりから見てね」
その彼女からというのだ。
「だからでしょ」
「俺がヒーローってな」
「柄じゃないっていうのね」
「別に凄いことしたことないぞ」
自分で言うのだった。
「ヒーローみたいなな」
「漫画とかアニメとかの」
「ああ、そんなことはな」
それこそというのだ。
「生まれてこのかたな」
「けれどよ」
それでもというのだった。
「あなたふわり助けたでしょ」
「保健所からか」
「あの人達が保健所に捨てて」
「その話聞いてすぐに迎えに行ったな」
「そうしたからよ」
だからだというのだ。
「ふわりにとってはね」
「俺はヒーローか」
「自分を助け出してくれたね」
「それでか」
「あなたに一番よ」
「懐いてるんだな」
「家族がいたら」
その時はというのだ。
「真っ先にでしょ」
「俺のところに来るな」
「それはね」
どうしてかというと、というのだ。
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