大魔闘演武開幕戦
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
シリルside
『皆さんお待たせいたしました!!いよいよ待ちに待った大魔闘演武!!開幕です!!』
聞き覚えのある声。その実況を聞いた観客たちの声がまだ入場していない俺たちの耳にも届いてくる。
『今年の大魔闘演武は魔水晶ビジョンを使い、全世界に中継されてます。参加する魔導士たちの熱き戦いを皆さんで見届けましょう!!』
あの二人の襲撃により多くの国が存亡の危機に陥った。だけど、生き残った人たちの力があったことでそのほとんどが復興を遂げることができている。ただ、もちろん元通りというわけではない。そのため、これからもその復興に努めていく勇気を与えるために、より多くの魔導士たちを各国に派遣したフィオーレ王国が行うこの大魔闘演武を放送するということなのだ。
『本日はお馴染み私チャパティと解説は元評議院のヤジマさん』
『ヨロスク』
この二人の実況と解説はお馴染みのため会場の観客たちも盛り上がり方がわかっている。そしてこの大魔闘演武では、この二人の他に必ず一人ゲストが実況席に来ている。
『そして本日のゲストは評議院のリュシーさんです!!』
『一緒に盛り上がろー!!』
評議院の紅一点であるリュシーさん。ソフィアの実の姉ということもありその美しい見た目を見たからか、先ほどまでよりもより一層歓声が大きくなっているように感じた。
「すごい歓声ですね」
「そりゃそうよ。世界中が注目する大会なんだから」
チャパティさんがリュシーさんへと大会の見所や注目ポイントを聞いている間、入場のためにゲートの前へと来ていた俺たちは前回参加した時とは比べ物にならないほどの観客たちの声にそんなことを話していた。
「いやぁ、緊張するねぇ」
「カナ、さすがに酒樽は持っていっちゃダメよ」
言葉と行動が伴っていないカナさんはすでにベロベロになっている。ミラさんが注意しているが、彼女の耳には届いていないような気もする。それがカナさんらしいといえばらしいんだけど。
「・・・」
これから大会本番とは思えないほどユルッとしている俺たちだったが、そんな中一人だけ一言も話さず俯いている少女がいた。それもすぐ真横に。
「どうしたの?ウェンディ」
見た感じ顔色が優れないようにも見えるウェンディ。どこか具合が悪いのかと問いかけてみたところ、彼女はまるでロボットのようなぎこちない動きでこちらを見る。
「こ・・・こんなに注目されているとは思ってなくて・・・」
前回を遥かに越える会場の熱気に飲まれている様子のウェンディ。でもそれも仕方ない。それくらいみんなこの大会を待ち望んでいたということだろうし。
「大丈夫だよ、ウェンディ。俺もいるから」
「うん。そうだね」
なおも震えている手で差し出した俺
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ