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私の 辛かった気持ちもわかってよー
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 インターハイの予選が始まる1週間前、出場するメンバーが発表された。個人は3年生が2人、2年生が4人、そして、私達1年生から3人。ダブルスは岸森璃々香のペァと織部先輩のペァ。団体戦にはダブルスは璃々香先輩と西田先輩、シングルは織部操先輩、そして、最後に行長コーチから私の名前が呼ばれたのだ。

 みんなからは、驚きの声が上がっていた。特に、2年生からも・・。それ以上に驚いていたのは私なのだ。だけど、岸森璃々香と織部部長は平然としていた。おそらく、話し合っての結果なのだろう。

 確かに、入部してから、私は必死に岸森璃々香と渡り合おうとしてきた。そして、最近は幾度となく私の打ったのがコートに跳ねて、あいつのラケットをかすめてネットに転がっていく場面もあったのだ。

 そんなことには、お構いなく、その日も岸森璃々香とラリーをしていても、彼女からは厳しい声を浴びせられていた。へとへとになっても、容赦なくボールが私に向かって飛んでくるのだ。「もっと 早く 真ん中に戻りなさいって言ってるでしょ もたもたしてるのって見てる人もイライラするのっ 腕だけで打ち返そうとするからそうなのよっ バレーボールじゃぁないんだから、身体で受けてどうすんのよー」今まで、以上に罵声に近かった。泣くにも涙を出している余裕も無かったのだ。

 その日も練習が終わって、2人が集まってくれて、私を励ましてくれた。

「ねぇ ウチって そんなに憎いのかしら・・・ 岸森先輩には」と、私も弱音を吐いていた。

「うん 異常だね 山葵の実力は私達も認めるけど・・ あの人のは指導というよりイジメに近いよネ」

「だけど あんなに厳しいから・・山葵も応えるように頑張って・・ついて行こうとしてるんだよね? ウチからしたら・・ なんか 山葵 意地になってるみたい ううん 悪いって言ってるんちゃうでー でも なんかあるの? あの人と・・ 敵対視してるんカナって ちょっと思ったから・・」と、美湖が私を覗き込んできた。

「ううん なんにもないよー ただ 先輩についていこうとしてるだけ」と、私は、軽く応えていた。

 そして、帰る時、二人になって、美湖ちゃんが

「なぁ やっぱり 何かあるんやろー 山葵もあの人に恨みあるん? そりゃー 毎日 しごかれとるけどな でも、今日の最後の方なんて 山葵 眼が・・・ いかにも、先輩に喰らいついてやるって眼してたもん 恐ろしい眼してたでー」

「あっ そうだった? ・・・ 美湖 ・・・ウチな ・・・そのうち話すワ 今は、インターハイ予選のことでめいっぱいヤネー それに、団体戦も選んでくれたんやものー 頑張る」

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