陰謀編 穢れた正義と堕ちた英雄 第3話
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』
忠義の表情に眉を顰めた駿は暫し逡巡した後、左胸に装着していた無線機に手を伸ばす。この件を報告するつもりなのだろう。忠義は何も言えず、ただ俯いていた。
『それと……俺のライダーキックで戦闘員1体が爆散した。さっきの爆音はその時のものだ。幸い、施設内に引火はしていない』
『えっ、ちょ……森里、あんた!?』
『皆まで言うな、始末書は今日中に仕上げておく。ではこれより、オルバスを連れて帰投する。オーヴァー』
だが駿は、通信相手の「仮面ライダーZEGUN」こと芦屋隷に対して、事実とは異なる内容を伝えていた。そのことに驚きの声を上げる忠義に、隷との通信を切った駿はジロリと鋭い目を向けている。
『森里、どうして……!?』
『……俺は現役警察官のお前とは違って、立場上は芦屋に雇用されている下請けの民間協力者だ。しかも元ノバシェード構成員という、新世代ライダー最悪の汚点。今さら何を仕出かそうが、落ちるような評判などハナから持ち合わせていない』
『だからって……!』
どうやら、忠義のキャリアに傷が付くことを懸念しての判断だったようだ。理由を言われても納得し切れない様子の忠義に対し、駿は諭すような声色で言葉を紡ぐ。
『ウェルフリット。人間を超えた力を持つ俺達仮面ライダーは、常に奴らと「表裏一体」なんだ。一歩間違えればその瞬間、俺達は怪人と何ら変わらない存在になる。特に……悪魔に近しい名を背負っているお前達「ジャスティアライダー」の多くは、政府の後ろ盾すら持っていないんだ。俺達より自由であればあるほど、個々に課せられたその責任も重くなる。そういう業を背負っている』
『……!』
『人の手で再現された「紛い物」とはいえ、悪魔の力を正義に使う……という生き方は、決して生易しい道のりではない。だからこそお前達は、俺達以上に正しく在らねばならないんだ。万に一つも、由来通りの悪魔になどならないために。そのことを忘れるな』
悪魔に近しい名を背負っているジャスティアライダーだからこそ、芯まで悪に染まらぬよう己を厳しく律しなければならない。特に、政府や警察に与しているわけではない忠義以外のアウトローなライダー達は、その庇護を得られない分、余計に多くの敵を作りかねない立場にある。
故にその力を行使する責任はある意味、新世代ライダー達よりも遥かに重い。自由と責任は表裏一体。それは政府に属する新世代ライダーだろうが、アウトローなジャスティアライダーだろうが、本質的には変わらない。だからこそ、正しく在ろうとする意思を忘れてはならないのだ。
『……あぁ。ありがとな、森里』
そう諭す駿の言葉に、思うところがあったのか。忠義は納得し切れない己の心を押し殺すように、瞼を閉じて
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