陰謀編 穢れた正義と堕ちた英雄 第3話
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れた壁の向こう側には、「外」の景色が広がっている。
『外の空気でも吸っていろ』
そしてタキオンは、白熱化した戦闘員の身体を瞬く間に掴み上げると、力任せに工場の外まで放り投げてしまうのだった。円形に切り抜かれた壁の穴から、戦闘員の身体が外に飛び出した瞬間、そのボディが木っ端微塵に爆散する。
『ふぅっ……!』
爆発のタイミングが遅れていたから良かったものの、一歩間違えれば工場内の危険物に引火し、大惨事になっていたところだ。
だからタキオンも派手な必殺技に頼らず、地味だが確実な手段で戦闘員達を仕留めていたのだろう。引火の恐れがない「外」での爆散を見届けたタキオンは、ベルトを操作してクロックアップ状態を解除している。だが彼は、勝利を喜ぶ気配もなく拳を握り締めていた。
『……ウェルフリット、何を考えている! ここでお前の最大稼働スキルは使うなと言ったはずだ!』
腕輪型変身装置のスイッチを切って変身を解除したタキオンこと森里駿は、この一帯の制圧を確認した後、自分の制止を聞かなかったオルバスに激しい剣幕で詰め寄っていた。
黒と灰色を基調とするノースリーブの特殊戦闘服を着用している、黒髪黒目の怜悧な美男子――といった容姿だが、その爽やかな顔立ちに反した険しい表情からは、無骨な印象を受ける。
ノースリーブによって露出している筋骨逞しい腕は、改造人間ならではの強靭な膂力を物語っていた。軟派な男を嫌うヘレンの趣味に「どストライク」な、「男らしい男」といった佇まいだ。
『す、済まねぇ森里……! コイツら、これほどしぶといとは……!』
腰のジャスティアドライバーを外し、変身を解除したオルバスこと忠義・ウェルフリット。
金髪碧眼の色白な美男子である彼は、赤と黒を基調とするノースリーブの特殊戦闘服を着用していた。筋肉質でありながらも、しなやかに引き締まった白い腕が露わになっている。いわゆる細マッチョという印象だ。恐らく、女性からは特にモテるのだろう。
『……たかが戦闘員、とはいえ奴らも改造人間なんだ。迂闊な真似はするな』
『あ、あぁ……』
駿の叱責を受けた彼は我に返ったようにハッと顔を上げると、沈痛な表情で俯いていた。普段は明朗快活な彼も、この時ばかりは自分を責めずにはいられなかったようだ。
本人としては、それほど必死だったのだろう。だが、忠義が撃破した戦闘員の爆散音はすでに外に響いてしまっている。無かったことには出来ない。尤も、そんなつもりは毛頭無いのだろうが。
『……ZEGUN、聞こえるか。こちらタキオン。このエリアの制圧は完了した、今のところ負傷者は出ていない』
『……
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