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仮面ライダーAP
陰謀編 穢れた正義と堕ちた英雄 第1話
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 怪人犯罪の対処を専門とする特殊公安機関「ノバシェード対策室」。その組織が誇る、新進気鋭の特務捜査官ヘレン・アーヴィング。彼女の華麗な活躍により、ギルエード山地に出現した戦闘員が駆逐され、現地の警察官達は絶体絶命の窮地から脱することが出来た。
 だが、これは次なる戦いへと繋がって行く「始まり」に過ぎない。2020年、7月某日。その日の夜から放送されたニュース番組によって、この北欧某国の平穏は大きく揺るがされてしまったのである。

「ご覧ください、こちらが爆発事故が起きた現場となっております! こ、これは酷い……! 広範囲に渡る火災の痕跡があり、事件の凄惨さを物語っております……!」

 ギルエード山地で発生した謎の爆発事件は、ノバシェードの内部抗争によるものとして国営メディアで報じられていた。現地に駆け付けた報道陣が凄惨な焼け跡や、戦闘員の遺体を包んだ袋にカメラを向ける中、緊迫した面持ちでマイクを握っている女性アナウンサーの姿が生中継で映されている。

「こ、ここがノバシェード戦闘員が出現したという地点のようですが……凄まじい火災の痕があちこちに見受けられます……! これほどの痕跡が残るほどの爆炎を浴びて、なおも生き延びていたということなのでしょうか……!? 恐ろしい耐久性です……!」

 艶やかなプラチナブロンドの長髪を靡かせ、白い手指を震わせながらもマイクを握っている色白の美女――ミルヴァ・ミルヴェーデン。Iカップの巨乳と100cmの巨尻を誇る、国営メディアでもトップクラスの人気を誇る女性アナウンサーだ。

 国民から広く愛されている人気アナウンサーである彼女だが、どうやらこの仕事を引き受けたことを心底後悔しているようだ。すでにヘレンや現地警察らによって、この一帯の安全は確保されている状態なのだが――恐怖という感情は、理屈だけで払拭出来るものばかりではない。

(く、来るんじゃなかったこんなとこぉおお〜……! あぁでもっ、こぉんなに可愛くて美しい私が頑張ってる姿が観たいんだって、視聴者の皆が言ってるんだからっ……! 国営メディアのトップ人気アナウンサーとして、私がこの取材から逃げるわけにはぁあ……! あぁでも、やっぱり超怖いぃいっ……!)

 何しろ相手は改造人間という、人外の怪物なのだ。噂の「仮面ライダー」達も側に居ないのだから、次の瞬間には訳も分からずいつの間にか殺されているかも知れない。その可能性がゼロではない限り、戦いが終わったからといって安心など出来ないのである。
 人間は未知というものを最も恐れる生き物なのだ。それ故にミルヴァは、その極上の美貌を恐怖と緊張で引き攣らせているのである。今にも顔に出てしまいそうな後悔の念を押し殺し、プロ根性を頼りに歩みを進めている彼女は、プルプルと震えて涙目になっている。


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