クリスマスイブイブストーリーA
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「そ、そうね。じゃあお互いに箱を開きましょう」
堀北と同時に宝石箱の蓋を開ける。俺の宝石箱はベルベット張りになっていて、中に2つの窪みがある。そしてその1つに指輪が収まっている。
対して堀北の宝石箱は……ベルベット張りになっていて、中に2つ窪みがある。そしてその1つに指輪が収まっていた。
……うん。同じ物らしいな。
「……家宝って被るものなんだな」
「どんな確率なのよ……」
「いや、もしかしたら昔に流行ってた宝石箱なのかもしれない。これが家宝になった年代が同じならありえない話じゃない」
「だとしてもどんな確率なのって話でしょう」
「……だな」
箱が同じなら、もちろん中身も同じだろう。そう思って堀北に聞いてみると、違う箇所もある事が判明した。
「堀北、お前懐中時計はどうした?」
「は? 懐中時計?」
「指輪の隣の窪み、懐中時計が入ってたろ?」
「いいえ。私のには錆びた髪飾りが入ってたわ」
「髪飾り?」
「そう。これよ」
そう言って、堀北は上着のポケットから錆びている髪飾りを取り出して見せた。
「そこは違うんだな」
「あなたのは?」
俺も自分の上着から錆びて壊れた懐中時計を取り出して見せた。
中身は違うが、サイズ感としてほとんど同じようだ。
「持ち歩いているところも被ってるな」
「……わざわざ言葉にしないで」
「……はいはい」
またも睨まれてしまった。
「……肝心の指輪はどうなんだ?」
「そうね。比べてみましょう」
お互いに箱から指輪を取り出し、テーブルの上に並べてみる。
「……これ」
「同じだけど……少し違うわね」
おそらく同じ種類の指輪であろう。デザインとか宝石が欠けている所は一緒だ。
しかし、その欠け方が違ったんだ。俺のは正面から見て左側が欠けているのに対し、堀北のは正面から見て右側が欠けている。
「……というかこれ」
「どうした?」
堀北がテーブルに置かれた2つの指輪を手にとり、目の前でシゲシゲと眺める。
「なんか、2つで1つみたいに見えない? ほら、ピッタリとハマりそう」
「確かに……でも2つで1つの指輪なんてあるか? というかそれを引き当てるってまた奇跡みたいな確率だな」
「別にこの2つしかないと決まってないわ。昔に2つで1つの指輪が売られていたのかも。恋人同士で1つずつ買って、それをお互いに交換しあっていたの
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