クリスマスイブイブストーリー@
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睨むと、急に金縛りが解けて動けるようになった。
「……」
「……」
イケメンパイナップルが何も言ってこなくなったかからベンチから立ち上がる。
そのまま立ち去ってやろうと思ったが、俺は一言だけイケメンパイナップルに言ってやることにした。
「おい優男。俺ですら今のままじゃ沢田に勝てる気がしねぇんだ。お前みてぇな優男には尚更無理だろ? さっさとお前も諦めろや」
「……ク、クハハハハッ……」
(なんだこいつ。いきなり笑い出しやがったぞ)
笑うとさらに不気味に見えるイケメンパイナップルは、今度は俺に向かって拍手をし始めた。
??パチパチ。
「いやぁ、よかった。きちんと自分と相手の実力を分析した上での選択だったのですね」
「……それがどうした」
「そうだとすれば、勝ち目が出ればあなたは再び沢田綱吉と戦えるということじゃないですか」
「!」
「僕ならあなたに勝ち目を与えられるかもしれません。どうです? 僕と協力して、もう一度奴と闘いませんか?」
(勝ち目があれば? 俺は勝ち目があればもう一度沢田と戦えるのか?)
この時俺は、イケメンパイナップルの言葉で俺の中に何かのタネを植え付けられた。そんな感覚がしていた。
(……分からない。俺は、もう一度沢田と戦いたいと思ってるのか?)
「……」
「……クフフ」
無言で考え込む俺に対し、イケメンパイナップルはベンチから立ち上がり俺の肩に手を置いた。
「まぁここで決断しろとは言いません。よく考えて、僕と協力する気が起きたら連絡を下さい」
そう言って、俺の上着のポケットに何かの紙を入れ込んだ。
「僕の連絡先です。いいお返事を期待していますよ、クフフ」
そして、イケメンパイナップルは微笑みながらコーヒーショップの中に戻って行った。
俺の視線はイケメンパイナップルから先ほどまで座っていたベンチへと移る。そこには、コーヒーカップが置きっぱなしになっていた。
「……コーヒー置いてくなよ」
そう独りごちながらコーヒーカップを手に持つ。
まだ温けぇな。
「……もったいねぇから。飲んでやるか」
わざわざコーヒーショップに入ってまであのイケメンパイナップルに会いたくないと思った俺は、そのコーヒーを処理してやることにした。
静かな敷地内を歩きながら、くいっと一口コーヒーを口にする。
「! ……くそが」
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