9名の救出劇C
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9名の救出劇C
(……熱いなぁ)
空中と床の熱気が体にまとわりつく。
じんわりと汗をかき始めているのか、制服が肌に張りつきそうだ。逆に口の中は乾き気味。連れてこられてからまだ数分だけど、結構水分を失っているみたいだ。
若干ぼーっとしている頭の中には、今回の事件に巻き込んでしまった皆の事が浮かんでいる。
(……わ、私のせい、だよね。みんな、綱吉君。ごめんね?)
熱さと不安により、後ろ向きで暗い過去の自分が顔を出し始めているようだ。
そんな状況の中、私は彼とのある会話を思い出していた。
??あれは龍園君に仕組まれた審議の準備中のことだった。
そう、綱吉君に私の秘密を少しだけ打ち明けた時の話。
「ねぇ、綱吉君は後悔し続けてることってある?」
「え?」
確か私のそんな一言から始まったと思う。
どうしてこんなことを聞いたのかは自分でも分からないけど、溜め込んできた私の後悔を抑えられなくなったのかな。
急にそんな事を聞かれて綱吉君は少し困った様な顔をしていた。
でも私の顔を数秒見つめると考えが変わったのか、ゆっくりと答えてくれたんだ。
「……そうだね。後悔していることはないかな。後悔しない選択をしてきたつもりだし」
「……そっか」
綱吉君なら自分と同じ様な経験をしているんじゃないか。そんな淡い期待を抱いていたけど、それは脆くも崩れ去ってしまった。
(自分と考え方が似てるからって、同じ様に後悔をしているわけもないか)
短絡的な自分の考えを振り払い、作業に集中しようとした。
??その時だった。
「……だけど、その為に一生消えない荷物を背負うことにはなったかな」
「え? 荷物?」
綱吉君が話を続け始めたのだ。ここで話を終わらせるつもりだった私は少し驚いてしまった。
「そう。後悔しない為の選択によって、荷物を背負うことになったんだ」
「……後悔しない為の選択」
綱吉君の言葉を頭の中で反芻する。
??あの時の私の選択は、後悔しない為の選択なんだろうか。
??だとすれば、心の中の消えないこの気持ちは……後悔ではなく綱吉君のいう様な一生消えない荷物なんだろうか。
そして、そんな私に綱吉君は優しげな微笑みを受かべながら衝撃的な言葉を口にする。
「うん。
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