9名の救出劇C
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「すまない。少し我慢してくれ」
「う、うん」
綱吉君は私をお姫様抱っこしたまま部屋の外に出た。そして、温泉施設の休憩所まで連れて行ってくれた。
休憩所にはベンチが置いてあって、綱吉君は私の事をベンチに座らせてくれた。
そして手足を縛っているロープもほどいてくれた。
温泉の休憩所なので冬でも空調が効いていて、体に冷たく気持ちい風が当たってくる。
(ほっ……涼しい〜)
ベンチに座ったまま、私は綱吉君にお礼を言う事にした。
「ありがとう。綱吉君」
「いいんだ。それより体調は大丈夫か?」
「あ、うん。熱中症にはなってなさそうだよ」
意識もあるし、頭が痛くもない。大量の汗をかいたけど、ギリギリセーフだったんだと思う。
「そうか。……少し待っててくれ」
「え? うん」
綱吉君は休憩所にある自販機へと向かった。学生証端末を翳し、3本の飲み物を購入しているみたいだ。
そして、綱吉君はその内の一本を私に手渡してくれた。
「はい。とりあえず水分補給はしないとな」
「ありがとう〜。喉からからだったんだぁ」
ありがたくペットボトルを受け取ると、それは水のペットボトルだった。
受け取ってすぐに蓋を開き、中身を喉に流し込む。
冷たい水分が喉を通る事で、全身が冷えて行くのがわかった。これで脱水症状にもならないだろう。
「んく……んく。ぷはぁ〜」
中身の半分を一気飲みし、やっとひと心地つけた。
(あれ? 綱吉君……あ)
いつのまにか目の前から綱吉君がいなくなっていた。
辺りを見回してみると、彼は少し離れた所にあるベンチにCクラスの男子達を寝かせていた。
その上で両足をさっきまで私を縛っていたロープで縛っている。手は縛らないのかと思っていたら、男子達の横にペットボトルの水が置かれているのが見えた。目覚めた時にすぐに水分補給できるように手は縛っていないんだろうか。
(さすがは綱吉君。敵にも優しいんだなぁ)
そんな優しい彼の行動を見ていると、ふと一つの疑問が浮かんできた。
こんなに優しい綱吉君が、私のように何か罪を犯したとは考えにくいけど……。
あるとしたら、今回みたいに友達を助ける為に敵をボコボコにしちゃったとかだろうか。
気にはなるけど、それを聞く事はできない。綱吉君も私の罪を聞かずにいてくれたんだから。
う
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