9名の救出劇A
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て感じで、すぐに視線を外してくれるから嫌な気持ちにはならない。
綱吉君なんて、顔を赤くしていきなり話題を変えようとするから分かりやすい。
それがむしろ可愛いとすら思える。
……でも、この男の子達の視線は嫌だ。100%下心だし、なにより私の事を雫としてしか見ていない。
……こんな人達に、私の素顔も私の体も見られたくないよ。
私は目に涙を溜めながら、精一杯絞り出した小さい声で彼の名前を呼んだ。
嫌な気持ちを消してほしくて、彼の優しい笑顔で包まれたくて。
「……助けて、綱吉君」
掠れたような声しか出なかった。すぐ近くにいる男の子達にすら聞こえていないようで、執拗に私に撮影会を受け入れさせようとしてくる。
「なぁ。どうする雫ちゃん?」
「ボコボコにされるよりいいだろ? 雫ちゃん?」
「……」
助けはまだ来ないし、もうどうすればいいのか分からない。
……その時、体育倉庫の扉が轟音を立てて急に倒れた!
??ドーン!
『!?』
「……あ」
扉が倒れた衝撃で埃が煙のように舞い上がっているけど、その先に誰かのシルエットが浮かび上がっている。
??コツ、コツ。
そして、そのシルエットは足音と共に輪郭を帯びて、その全容を露わにした。
「……! さ、沢田!?」
「……つ、綱吉君!」
そう、現れたのは綱吉君だった!
「……愛里、大丈夫か?」
「えっ!? う、うん。大丈夫///」
あ、あああああああ愛里!?
今、私の事を愛里って呼んだの!?
初めての呼び捨てに顔を赤くしていると、綱吉君はCクラスの男の子達を鋭い視線で睨みつける。
「……お前ら。この子は雫じゃないぞ」
「は、はぁ?」
「い、いやいや。間違いなくグラビアやってた雫ちゃんだろ?」
「……」
男の子達の返答を聞いて、綱吉君の視線がより鋭くなる。
(……つ、綱吉君。怒ってる?)
「……お前らは、この子の本当の魅力≠知らないんだな」
(……え?)
「は、はぁ? 本当の魅りょ……!」
男の子の1人が問い返すよりも早く、綱吉君は男の子達の懐に入り込んでいた。
「……ふん」
『ぐぼぉ!』
「悪いな、お前達には教えたくない。だが、これだけは覚えとけ。この子の名前は佐倉愛里≠セ」
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