9名の救出劇A
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頭から手を離すと、今度こそツナ君は他の人質にされた子達を助けに向かった。
「……」
「……さぁ桔梗ちゃん。病院に行こう」
走り去っていくツナ君の背中を見ていると、寛治君が私にそう言ってきた。
「……ふぅ。うん! そうだね!」
そして私は、寛治君と共に病院へと向かったんだ。
〜 現在 〜
「……と、私はこんな感じ!」
ラブストーリーや内心は全てカットして皆には伝えた。
「そっか〜。櫛田さんも大変だったんだねぇ〜」
「うん! すごく怖かったよぉ〜」
私は目に涙を溜めながらそう言った。ほとんどの皆がうんうんと同情してくれているのに、堀北だけはジト目で私を見ている。
……ちっ!
気を取り直して、次の語り手にバトンタッチをしよう。
私の次は〜、佐倉さんだねっ。
「私の後は佐倉さんを助けに行ったんだよね?」
「は、はい。そうです」
「どうやって助けてもらったか教えてくれるかな?」
「わ、わかりました」
そして、佐倉さんは自分の体験について語り始めた。
?? 愛里si……『愛里とツナぴょんのラブストーリー♪』『ち、違うよ波瑠加ちゃん!』
「……」
「くくく」
綱吉君の参加する審判の傍聴に行った際に、私と波瑠加ちゃんはCクラスの男の子達に誘拐された。
私はバスケ部用の体育館に連れて行かれて、用具倉庫に押し込まれてしまった。
手足をロープで縛られている私は床に寝転がされて、男の子達は私を笑いながら見下ろしている。
(こ、怖いよぉ……)
とてつもない恐怖を覚えながらも、私は勇気を振り絞って男の子達に問いかける。
「……ど! ど、どっ」
「どどど?」
「はぁ? 何言ってんのこいつ」
やっぱりだめだ。
怖くてまともに喋れない。唇が震えて発音すらままならないよ。
頭の中では、あの時のストーカーのことが嫌でも思い出されている。
もしかしたら、あの時もこうなっていたかもしれない。
そう思うと、当時に感じていた恐怖感が鮮明に思い出されてしまうんだ。
執拗なネットストーキング。そしてそのストーカーはこの学校の敷地内にいて逃げ場がないという絶望感。
もう不安で不安で、怖くて怖くて
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