9名の救出劇A
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たんだ。
親友の無事が分かり、私の体から一気に力が抜けていく。
(本当によかった。中学の二の舞にならなくて……)
力なく床に寝転ぶ私。ツナぴょんは私の手足を縛っているロープを解いてくれている。
そして、解いたロープでCクラスの男子達を手近な場所に縛り付けた。
「……」
「これでよし」
男子達を縛り付けた後、私の方へ戻ってくるツナぴょん。
私はそんなツナぴょんに今の心境を打ち明ける事にした。
「ねぇ……ツナぴょん」
「……ん?」
「私、愛里に酷いことしちゃったよね」
「……」
私が質問している事に気付いていないのか、はたまたあえて答えないのか。
それは分からないけど、ツナぴょんは黙って私の事を見つめている。
「……私ね。愛里を審議の傍聴に誘ったんだ」
私はツナぴょんに話した。
ツナぴょんの参加する審議の傍聴に愛里を誘った事。そして傍聴に向かう途中で誘拐されてしまった事。
「……だからね? 私のせいで愛里は酷い目に遭っちゃったんだ。私、親友失格かな」
「……」
情けなくて悲しくて、また涙が出てくる。
そんな私を見たツナぴょんは……無言で私の顔を流れる涙を指で拭った。
そして私の顔を両手で掴み、優しく自分の顔の方に向ける。
「……波瑠加。俺の目を見ろ」
「……え?」
「俺の目を見ろ」
「……うん」
言われるままにツナぴょんの目を見つめる。
その目はいつも通りに優しげで、そしてどこか暖かくて。自分の全てを許してくれる、そんな気がしてくる不思議な目だ。
「いいか波瑠加。今回の事件は全部俺のせいだ。龍園に目を付けられたのに放っておいた俺のせいだ。だから君は一切悪くない。まずはそれを受け入れてくれ」
「……で、でも」
「いや、俺が悪いんだ。君は何も悪いことはしていない。それが真実だ」
「……」
ツナぴょんの言い様に何も言えなくなり、とりあえず受け入れて黙り込む。
「……よし。受け入れてくれてありがとう。……でだ。波瑠加、君にお願いがある」
「? お願い?」
……こんな私に何をお願いすると言うのだろう。
「この後病院に行ったら愛里が待っていると思う。そして波瑠加を見たらきっと、心配して走り寄ってくるはずだ」
「……うん」
その様子は容易に想像できてしまう。
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