9名の救出劇@
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勝てないからと抵抗をしない。龍園の怖さを知りつつも、鈴音や俺への罪滅ぼしをしようとしてくれた木下の方がお前よりもずっと強いな」
「っ! てめぇ……」
苛立ったのか、時任君は沢田君に殴りかかる。
「……」
「ぐあっ!」
沢田君はあっさりと時任君の拳を受け止めて、蹴りのカウンターを喰らわせた。
強烈な蹴りを喰らった時任君は倒れて動かなくなる。
……どうやら気絶したらしい。
「……木下、待たせたな」
「う、ううん」
沢田君は私の両手足を縛っていたロープを外してくれた。
そしてそのロープで金田君と時任君の腕を手近な場所に縛り付ける。
「これでよし。……木下、動けるか?」
「……ううん、無理みたい、です」
龍園君に怪我をさせられた時の恐怖がフラッシュバックしたからか、私の腰はすっかりと抜けてしまっていた。
「そうか。なら少しの間我慢してくれ」
「え? ……わぁっ!」
何をするのかと思ったら、沢田君は私を優しく抱き上げた。
「さ、沢田君……」
「すまない。少しの間我慢してくれ」
「う、うん」
そして、私は沢田君に抱き抱えられたまま講堂の外へと出た。
「あ、ツナ君。木下さんも」
「! 椎名さん」
講堂の外では、椎名さんが待ってくれていた。
「ひより、木下はまだ動けないらしいから、少し休んでから病院に向かってくれ」
「はい。わかりました」
講堂の入り口付近にはベンチが設置されていて、沢田君は私をそこに座らせた。
そして、私に目線を合わせるように屈みこむ。
「木下。怖い思いをさせてすまない」
「う、ううん。大丈夫だよ」
「そうか……木下は強いし優しいな」
「ううん、そんな事ないよ」
沢田君は私を見て微笑んでくれた。
「じゃあひより、頼んだぞ」
「はい、分かりました」
そう言って走り出そうとする沢田君……だがなぜか、顔だけを動かして再び私に視線を向けてきた。
「木下。これからもいつでも助けを求めてくれ」
「え?」
「君もすでに俺の仲間だ。だから、君の事も必ず守る。俺の全てを賭けてな」
「! う、うん。ありがとう///」
沢田君は私に微笑むと、今度こそ走り去って行ったのだった。
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