9名の救出劇@
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「なんで……なんで生贄なんて」
私の絞り出すような声に、金田君は嬉しそうに答える。
「ふふふ、ペーパーシャッフルでDクラスに協力したからじゃないですか?」
「! ど、どうして」
「どうして? 龍園さんがそれくらい見抜けないと思います? 今回の事はその事に対する制裁でしょうね」
「そんな……」
ペーパーシャッフルで櫛田さん達に協力していた事がバレていたなんて。
バレていた事に驚いている私に、時任君が冷たく吐き捨てる。
「はっ。お前だってあいつの怖さは知ってるだろうに。……裏切るとか馬鹿な真似をしたもんだ」
「わ、私は裏切ったわけじゃ……」
「Cクラスの問題文をリークしたんだろう? 裏切り以外の何でもないだろ。というか、俺はお前のせいでこんな下らない事に巻き込まれてんだぞ。その鬱憤はお前で晴らさせてもらうわ」
「そ、そんな」
時任君は拳の骨をポキポキと鳴らしながら私に迫ってくる。
「時任君。餌に暴行するのは、龍園君から連絡が来た後ですよ」
「うるせぇ、どうせ後からボコすんだろ? だったら今やっても同じだろうが」
「全く……仕方ないですねぇ」
言っても聞かないと思ったのか、金田君はやれやれと首を振りながら引き下がってしまった。
時任君は龍園君に否定的な男子だ。でも実力で勝てないと分かっているから渋々従っているのだろう。
「……こ、来ないで」
「逃げ場なんてないぞ。諦めろ」
「……い、いや。……た、助けて」
「いくら呼んでも助けはこない」
「……」
「ぶほっ!」
「弱いくせに強い奴に逆らった罰だ。素直に受け取れ」
そして時任君の拳が私の顔に向かってきた、その瞬間。
「……違うな。木下は優しくて強い女の子だ」
「!」
「なっ!?」
後ろの方から声が聞こえてきた。私と殴るのを辞めた時任君も後ろの方に振り返った。
そこには、いつの間にか倉庫内に現れた沢田君と、足元にはいつの間にか気絶させられていた金田君が転がっていた。
「沢田! いつの間に!」
「お前が木下に詰め寄っている時だ」
「どうやって入った!」
「鍵閉めてなかっただろ?」
「はっ……くそ、金田の馬鹿野郎!」
気絶している金田君に暴言を吐く時任君。
「話を聞いていたが、お前に木下を見下す権利はないな」
「! ふざけた事言ってんじゃねぇぞ」
「お前も龍園の事をよく思ってないんだろ? なのに
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