龍園VSツナ@
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バケツには全容量の8割程度の水が入っている。
「軽井沢。お前をこれから徹底的に潰す。恨むなら沢田を恨めよ」
「な……何をする気なの?」
「お前のトラウマを呼び覚ます。肉体に負荷を与えつつ、精神も壊してやるよ」
龍園はそう言うと、石崎に目で合図を出した。
石崎はそれだけで命令の内容が分かったが、すぐには動き出せなかった。
「り、龍園さん。手を出すのは沢田が動き出してからじゃ?」
「それは他の奴らだ。軽井沢だけは今から潰し始めるんだよ」
「な、なぜ?」
石崎の質問に答える前に、龍園は両手を縛られて床に転がっていた軽井沢の近くにしゃがみ込み、軽井沢の顔を手で掴んだ。
「……沢田にとって、こいつが酷い目に合うことが1番辛いはずだからだ。おそらく沢田は、こいつがいじめられっ子だった事を知っている。だから船上試験で真鍋にいじめられそうになった軽井沢を助けたんだ。……だろ? 軽井沢よぉ」
「っ……」
目を潤ませて龍園を睨む軽井沢。
龍園は軽井沢から手を離して立ち上がった。
「……お優しい沢田なら、そんな軽井沢の事を守りたいと思ってるはずだ。それ故に守りたいと思っていた人物を潰されれば、沢田の受けるダメージは計り知れないだろう。だからこいつだけは必ず潰すんだ」
「っ……」
「……何してる石崎。さっさとやれ」
「……は、はい」
石崎は龍園に命じられるままに、バケツの水を軽井沢の頭に思い切りぶっかけた。
「きゃあっっ!」
今は真冬で、屋上だからもちろん外だ。
こんな場所で水を浴びれば、体のみならず心の芯まで冷やしてしまうだろう。
「う、うううっ……」
軽井沢は身体を縮ませて震え始める。
そんな軽井沢に龍園はさらに追い討ちをかける。
「どうだ、思い出すだろ? お前の辛い過去をよ」
「いや……いや!」
耳を塞ぎたいだろうに、両手を縛られているからそれもできない。
「これで終わりじゃないぜ。徹底してお前を壊してやるからよ」
龍園は学生証端末のカメラを起動すると、片手で録画を始めた。そしてもう片方の手で軽井沢の濡れた前髪を掴みあげる。
軽井沢の瞳から生気が抜け出て行く。
きっと過去の虐めがフラッシュバックしているのだろう。
「せっかくだから動画に残そう。Dクラスを潰した後、学校中にばら撒いてやるよ」
「や、止めてよぉ…
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