龍園VSツナ@
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……体の芯まで冷えきってしまった。
合計で4回もバケツで水をぶっかけられてしまったから当然だ。
とっくに下着までびしょ濡れだけど、本当に恐ろしいのは『寒さ』じゃない。
最近は抑えられていたはずの、暗くて重い昔の私を支配していた闇が侵食を始めることだ。
そしてその闇は、再び私を侵食するべく私の思考を操作してくる。
『どうして私は虐められているの?』
『なんで私は生きているの?』
『私の何がいけなかったの?』
そうやって自分を責め始めてしまうのだ。
冷え切った心は身体を蝕み、刻み込まれていた過去の私の無様さを表面に引き摺り出そうとする。
……怖いよ。
「お前は今日潰れる、これは決定事項だ」
……助けてよ。
「潰して終わりじゃないぜ? お前のあることないことを手紙にして学校中にバラまいてやるよ」
……苦しいよ。
「沢田はまだ助けに来ないな? 他の人質を優先して、お前は放ったらかしか?」
……そんなのいやだよ。
「もしもこの場を切り抜けれたとしても、今までのように強気なお前でいられるのか? ……いいや、無理さ。お前はまたいじめられっ子に逆戻りだ!」
昔にされた虐めが、私の中で何度もフラッシュバックする。
「……いやだよ。いやだ、いやだいやだ! ……いやだよぉ」
すごく惨めで、今すぐに死んでしまいたいと思うような世界になんて、もう絶対に戻りたくない。
「嫌か? なら懇願しろよ。俺も考えが変わるかもしれねぇぞ?」
「お願い……許して、お願いだから許して!」
もうプライドなんてどうだっていい。私が作り上げてきた軽井沢恵という自分を壊したくない、ただそれだけだ。
「Dクラスが崩壊すれば、お前は上のクラスの奴らに虐められるだろうなぁ」
「いや、いや、いやだよ……」
「だったら懇願しろ。昔の自分に戻ることがそれほど辛いのならな」
(懇願……すれば、私は許されるの?)
頭の中では、昔の虐めの内容が嫌でも思い出されていく。
教科書への落書きやノートの紛失。トイレ中に水をかけられたことも何度もある。
殴られ蹴られ、そんな様子を今みたいに動画に撮影されて、次の日には私はクラス中の笑いものだった。
上履きに画鋲を仕込まれたり、机に動物の死骸を入れられていた事もあったっけ。
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