女王と野獣
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のキレイな顔がふきとぶぞ!!」
忌々しそうに警備隊が憤るが、それでも彼らはヤザンの剣幕を見ると「本当にやりかねない」と、そこに狂気を見て取れてしまって、全員が為す術もなく言う通りとなった。
だが、ここを切り抜けても、このままいつまでも同じ手段で港まで行けるとは、ウッソ達には到底思えなかった。
「…どうするんです、ヤザンさん!」
「ウッソ、今何時だ」
「え?な、なんです、こんな時に」
「いいから、今は何時だ!」
「標準時間でなら、もうすぐ昼の1時ですけど…!」
「…もうじき、二度目の空襲がある。その時がチャンスだ。そうしたらとにかく港に向かって走るぞ、いいな!」
「わかりましたけど、でも…シャクティ…!君は、君はどうするの?本当のお母さんに、やっと会えたんだろ?ここに残ってもいいんだ」
ヤザンが警備隊を威圧する傍らで、ウッソは幼馴染の少女の手をしっかり握りながら、目を見つめて言う。
あれ程焦がれたシャクティだが、いざ実母と邂逅したシャクティを見れば、その表情と雰囲気からは満更でもないのだという感情は察せられた。
ウッソという少年はそれぐらいの洞察力はある。
月で、母のミューラと再開した時は、自分も幸福と充足で心が潤ったが、血を分け合った家族というのは、やはりそれだけ特別なのだと思い知れたのだ。
「ウッソ…」
「月でさ…母さんと会えた時に、やっぱりお母さんって、特別なんだって思ったんだ。本当のお母さんの元にいるのが、やっぱり子供にとっては自然な事だって思う」
ここには実の両親を失ったオデロもウォレンもスージィもいるが、それは承知でそう説得した。
寧ろ、友人達のそういう悲劇を知っているからこそ、まだ親のいる者はそれを大切にすべきとウッソは思うし、そしてオデロもスージィも、力強い瞳でしっかりと頷いていた。
「そうだぜシャクティ。母さんは大切にしなきゃ」
「そうだよ。生きていれば、私達とはまたきっと会えるから。だから、ここに残ったっていいんだよ?」
そんな暖かな言葉を交わす子供らを、ヤザンはマリアに銃をごりごり擦りつけながら溜息など吐いてチラリと眺める。
(…まったくウッソの奴、情に流されやがって…!誰よりもシャクティを欲しがっているのは貴様だろうが。こちとら、シャクティを奪還するためにこんな苦労をしてんだがな…!ここでシャクティが残ると言った所で、俺はそんな青臭い友情物語に手は貸せんぞ…―――いや、そうとも限らん。そうさ…!俺としては、究極的に言えばザンスカールが勝とうがリガ・ミリティ
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